キリシタン寺を観光資源に 高校生が「地域探究」集大成発表 市長「課題に即した内容」

2022.03.22
地域

酒井市長らを前に「地域探究」の学習成果を報告する生徒たち=兵庫県丹波篠山市大熊で

兵庫県丹波篠山市にある篠山鳳鳴高校の1年生105人と、総合科学コースの2年生37人が丹波篠山の地域課題を探る「地域探究」の成果を報告する「探究Day」がこのほど、同校であった。普通科の1年生と、2年生はこれまでの学習の集大成の場。地域探究の取り組みは10年近く続く中で、初めて酒井隆明同市長を招いた。生徒たちの提言に耳を傾けた酒井市長は「すぐ取り入れられるものもある」とし、市の施策に反映させることに含みを持たせた。

1部では、同校教諭や、探究活動をサポートしてきた教育関係者らが選考した代表6班が、スライドを使い発表した。会議室から6分間の発表映像を各教室へ配信した。会議室では酒井市長のほか、丹後政俊同市教育長らも見守った。

「篠山にひそかに根付くキリシタン文化」と題して発表した2年生6人のグループは、かつて丹波篠山市般若寺集落の山中に存在した江戸時代のキリシタン寺「天通寺」の跡地周辺を観光資源として活用することを提言した。同寺はイエズス会が建立した南蛮寺などと並んで、当時の「日本三大キリシタン寺」と称される。

6人は「丹波篠山市に存在した知られざる歴史文化を、目に見える形でPRすることで市の活性化につながる」と考え、調査を開始。かつてはキリスト教寺院で、安産を信仰する「マリア観音像」が安置されている長徳寺(同市大渕)を訪ねたり、市内の家に残る十字架の形をした千手観音像に触れたりして、キリシタンの足跡を確認した。「般若寺の史跡を守る会」の小島博久さんから話も聞いた。

調査結果を踏まえ、「キリシタン文化は観光資源としてある程度利用可能」と結論付けた。明智光秀が丹波攻めの際に築いた般若寺城跡や国史跡「八上城跡」が残る高城山などを巡り、市内の歴史文化に触れる散歩コースの設定などを提案した。

このほか、丹波篠山をコスプレの聖地として売り出すことや、古民家を改修した学習カフェの開業を提案した班もあった。

2部ではポスターをもとに全41班が体育館で発表。探究活動を1年時に終えている普通科の2年生も発表に耳を傾けた。

酒井市長は「一つひとつの発表が市の課題に即したものばかり」と高く評価した。探究活動をサポートしてきた一般社団法人「BEET」の細見勇人代表理事は「このまま形に残していくべきだと思う発表もいくつかあった。もし、自分たちで形にしたい、調べていきたい、と思う班があれば全力で協力する」と約束していた。

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