はがきで「つながり」創出 コロナ禍の高齢者支援事業 新規訪問にもつなげる

2022.04.11
ニュース

訪問時に活用した聞き取りシート。外出自粛で話す機会が減り、訪問は喜ばれたという

兵庫県丹波市民生委員児童委員連合会(開田昇会長)が、市内の75歳以上に往復はがきを送付し、日常生活の困り事などを書いて返信してもらう事業(返信率79%)で、本人の希望により民生委員が訪問した660人のうち、独居高齢者を訪問対象とする従来の活動ではつながれなかった人が214人を占めた。同連合会は「高齢者夫婦のみの世帯や日中独居世帯など、普段は関わりの少ない高齢者とも新しいつながりができた」とした。うち107人は現在も継続して訪問している。

コロナ禍による外出自粛の影響で、孤立や心身状態の悪化が懸念される高齢者を支援するため、昨年5―12月に実施した「コロナ禍における高齢者見守り推進事業」。1万1323通を送付し、8937通の返信があり、660人が訪問を希望した。同連合会は2020年度で約1万1600件を訪問した実績がある。

相談のうち、最も多かったのは健康・介護に関する内容。息子と2人暮らしの女性が、足が不自由になり風呂に入りづらいという相談があり、地域包括支援センターにつないだ上で介護認定を受け、現在は通所デイサービスに通うようになったケースもあったという。「独居高齢者でないので従来では訪問対象外だが、独居でなくても困っている高齢者は潜在的におられる。家族がいても話す機会がないという人もいる。認識を新たにしたい」とした。

「話を聞いてほしい」という相談内容も多く、同連合会は「100歳体操なども休止になり、コロナ禍特有の外出自粛による影響かもしれない。井戸端会議もなくなり、孤独を感じられる人もいた」と話す。

また、「高齢者は増え、介護者は減っていく。高齢者の見守りは目が行き届きにくくなる。民生委員を中心に、地域全体で支援できるようになれば」とし、「今回の事業で、民生委員の活動を知ってもらえた。また新たな手法で支援ができれば」と話している。

関連記事