ギター携え世界各国を訪れたアーティスト 高橋建一郎さん(丹波篠山市垂水)

2022.04.24
たんばのひと

高橋建一郎さん

音楽は言葉を超える

ギターを携え、世界約15カ国を訪れたアーティスト。スラム街など、治安が悪いとされる地域も多く訪れた。異国の地で、ギターを奏でる中で感じた。「音楽は言葉を超える」―。

「勉強はしなくても怒られなかったが、ギターを弾かなかったら怒られた」ほど音楽好きの父の影響で、幼い頃から音楽が好きだった。

ジャズの音楽的基盤であり、アメリカの黒人の間で生まれた「ブルース」発祥の地の音楽文化を確かめたいと、20歳の時、ギター一つ抱えて渡米した。ニューオーリンズでは、「盲目のおじいちゃんが街角でブルースを弾いていた。恐怖感もあったけれど、そこで生まれる音楽からは、生きるための執念を感じた」。

言葉も通じない路上で、負けじとギターを奏でた。「ギターケースを開けていると、みんながお金を入れてくれて、積極的に話し掛けてくれた。そのとき、通じ合えているのが分かった」。旅費は路上演奏で稼いだ。

以来、春・夏は帰国し、冬は日本を離れるといった具合に、世界中の国々を訪れるようになった。どこへ行っても、ギターさえあれば、その場でセッションができた。

ブルース、アフリカ音楽、レゲエ、フォークソングと、多彩なジャンルの曲を作る。世界中の音楽文化に触発された経験が、作曲の根底にある。身近な素材を使い、民族楽器を模した楽器も製作する。

建築家としての顔も併せ持つ。丹波篠山市内のフリースクールの建築を手掛けたのが縁で、7年前から同市垂水に腰を落ち着けている。3人の子宝にも恵まれた。音楽・建築の傍ら、自給生活を“加速”させようと、製塩にも挑戦中。神戸市出身。43歳。

関連記事