廃校に戻った「歓声」 校舎開放し卒業生ら”登校” 5年ぶりに「在りし日の姿」

2022.04.02
地域

思い出の写真を展示した職員室=2022年3月23日午前11時57分、兵庫県丹波市青垣町山垣で

2017年3月の閉校から5年となる節目を記念し、兵庫県丹波市の旧遠阪小学校を開放するイベントがこのほど開かれた。地元の「遠阪を愛する有志」が企画し、過去の学校行事の様子を撮影した写真を展示するなど、訪れた卒業生や地域住民に懐かしい時間を提供した。時おり、チャイムを鳴らすなど「在りし日の姿」を演出。多くの人が通った当時の姿に戻った校舎に、来場者の歓声が響き渡った。

閉校しても、地域のコミュニティーの場として住民らが集うきっかけになればと、閉校時のPTA役員や地域住民ら12人が企画。玄関前など校舎周辺には、閉校式典の際に掲げた「幸せの黄色いハンカチ」を彩った。毎年、3月末になるとハンカチを掲げているが、今回はイベントに合わせて新調した。

校歌が流れる中、掲揚柱に黄色い旗を掲げる子どもたち

昼には、閉校式典で児童が歌った校歌を放送。集った子どもたちが、校庭の掲揚柱に、ひときわ大きな黄色の旗をはためかせる演出もあった。

職員室には、同校の運動会や音楽会をはじめ、何気ない学校生活を切り取ったアルバムを並べた。昭和初期のものと思われる白黒写真や、閉校式典の様子なども展示。来場者はアルバムのページをめくりながら、「懐かしいね」「こんなことあったな」などと思い出に浸っていた。

2005年度卒の女性(28)は、同小の伝統だった竹馬作りや鉛筆削り大会をよく覚えていると言い、「校舎の中に入ったのは久しぶり。たて割り班活動をしたことも思い出した」と目を細めた。

1961年度卒の男性(72)は、「校庭には大きなマツがあって、運動会で万国旗を飾るのに登った」と記憶。当時の木造校舎は、遠阪小と遠阪中学校が入居していたと振り返り、「中学生の時に青垣中学校に統合されたから、遠阪中入学、青垣中卒だね」と思い出を語った。

有志の一人で、85年度卒の足立哲さん(48)は、「多くの人が来てくれて、地域のシンボルとしてすたれていないと感じた。小学校に対する思いが強い人が多くいてくれてうれしい」と笑顔。「今後も、一人でも多く小学校に戻って来られるような地域づくりをしたい」と話していた。

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