調律師 西本義孝さん(丹波市柏原町大新屋)

2022.06.12
たんばのひと

西本義孝さん

コミュニケーション8割

丹波地域の公共施設、丹有地域の学校のほか、「シューベルティアーデたんば」や、各コンサートで使われるピアノを調律している。「子どもたちが生の演奏を聴いて、音楽好きになってもらうことが目標」とやりがいを感じている。

丹波篠山市南新町出身。母子家庭で「生活が苦しく、中学卒業後、就職しようとしたが、周りから勧められ」、篠山産業高校丹南分校に進学。新聞配達などのアルバイトで家計を支えた。

高校ではバンドに入ってギターを弾いた。就職を考えていた時、小学生の頃、講堂でピアノを調律していたおじさんを窓からのぞき見て、「なんとなく不思議な世界だなあ、と感じたことを思い出し、これを生業にしよう」と思った。

静岡県のピアノメーカーに1年間、研究生として入社。一日中、ピアノを組み立て、仕事が終わってから調律の勉強をした。帰郷し、丹波篠山市内の楽器店に就職。ピアノの調律のほか、営業や運搬などもこなした。大病を患ったこともあり、22年間勤めて退職。調律師を続けようか迷ったが、国家試験の保証人の「私と同じ年齢(93歳で死去)まで続けなさい」という言葉を思い出し、続けることに。

2003年、自宅で「西本ピアノ調律」を設立。著名な国内外の演奏家の調律も担当している。「調律師は技術が2割、コミュニケーションが8割。オーストラリアでレコーディングした時はプールで一緒に泳いでビールを飲んだ。飲めなかった酒が飲めるようになった」と笑い、「調律したピアノの音で観衆の感動を呼んだ日のビールはうまい」。63歳。

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