戦争考えるミュージカル 体験者の証言も 女性劇団員が熱演へ

2022.07.02
地域

「丹波ささやま平和フォーラム」で上演するミュージカルを練習する劇団員ら(提供)

ミュージカルの担い手を育成している一般社団法人OZwaysが、7月10日午後2時半からオズ・ブロードウェイ・シアター(兵庫県丹波篠山市南矢代)で「丹波ささやま平和フォーラム」を開催する。子どもたちに戦争を身近に感じてもらうのが趣旨で、市民による戦争体験の話や、同市のゆかりの地を訪問した収録映像の放映、戦争をテーマにしたミュージカルの上演を行う。

第1部は「ささやまに残る戦争のおはなし」。篠山産業高校近くの歩兵第70連隊跡などの市内に残る戦争の遺跡を、辻井奈緒子代表理事らが巡った収録映像を上映する。また、戦時中、同市畑宮に住んでいた園田美子さんが、戦死した長兄のことや、学校での生活などの体験を話す。

第2部は、同シアターを拠点に活動している女性のみのミュージカル劇団「オズメイト」の12人が、戦後70年を機に2015年に宝塚市で上演したオリジナルミュージカル「ガランドウの虹」のダイジェスト版(30―40分程度)を上演する。舞台は太平洋戦時下、4人の幼なじみが主人公。1人は家業の和菓子屋を継ごうとしたが戦死。ほかの3人は教師、新聞記者、漫画家となった。3人は4人で隠した10年後の自分に書いた手紙を開け、漫画家が4人をモデルにした漫画を描き、アニメーションで放送される―。漫画の中の4人と、現実に生きた4人を描いたストーリー。

「戦争は怖い、というだけでなく、なぜ戦争に至ったかを伝えたい」と話す辻井代表理事。2015年の公演は、「日本が再度戦争に巻き込まれるのでは」との危機感から企画した。

世界情勢が変わる中、今年に入って「ガランドウの虹」の再演を計画していたところ、ロシア・ウクライナ問題が勃発。コロナ禍で公演日は未定だったが、2月から練習を始めた。劇団員は戦争を知らない年代。シベリア抑留も経験した同市の高橋勝さんの記念館を訪れ、高橋さんから話を聞いたり、東京の靖国神社や昭和館を訪れ、戦争について学んだりすることから始めた。

辻井代表理事は「子どもたちに自分が住んでいるところの歴史を知ってもらい、戦争について考えるきっかけになれば」と話している。

定員70人。市の「市民活動助成金事業」を活用。入場無料だが、予約が必要。オズ・ブロードウェイ・シアターに電話(079・506・6200、木―日曜の午前11時半―午後5時)か、ホームページ(https://www.ozbt.net/)の予約フォームから。

関連記事