大師道八十八カ所めぐりみち まるで「四国」な”ミニお遍路”

2022.07.25
たんばの世間遺産地域

ミニお遍路コースをにぎやかに巡る小川小の児童たち=兵庫県丹波市山南町岩屋で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市山南町岩屋の「みつみ学苑」そばにある“ミニお遍路”コース「岩屋大師堂八十八ヶ所 めぐりみち」です。

コース上には石組みの祠が点在しており、その中には薬師如来など各霊場の本尊と弘法大師の2体の石仏が安置されている。スギ・ヒノキの林の中につくられたつづら折りのコースは、1時間程度で結願できる“山南町にある四国”となっている。

同集落在住で、県立考古博物館の学芸員、藤田淳さん(61)によると、江戸時代に西国三十三所観音霊場、熊野詣、善光寺参りなど庶民の間で巡礼が流行。弘法大師(空海)ゆかりの仏教寺院を巡る四国八十八ケ所霊場巡りもその一つで、88カ所全てを巡ると結願となり、「病気が治る」「願い事がかなう」などと伝えられている。ただ、この霊場巡りは1100キロ以上の長旅となるため、短距離ながらお遍路に行ったことと同じ功徳が得られる縮小版が各地に開かれたという。岩屋の「めぐりみち」もその一つで、明治初期につくられたとされる。

獣害防止柵を開けるとめぐりみちが始まる

現在も毎月「お大師さんの日」の21日前後に、弘法大師誕生の地とされ、めぐりみちのスタート地点ともなっている75番・善通寺周辺の掃除を集落の当番人で行い大切に祭っている。また数年前から、小川小学校が地域学習の舞台として活用しており、ミニお遍路に出掛け、ふるさとの歴史を肌で感じている。

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