手作りのバスケゴール 子のために一肌脱いだ77歳

2022.07.16
たんばの世間遺産地域

手作りのゴールと「いつでもニコニコ笑顔」がモットーの北村さん=2022年7月7日午後5時56分、兵庫県丹波篠山市新荘で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市城北地区にある「手製のバスケットボールのゴール」です。

新荘集落の轟八幡神社境内の公園にある。既製品ではなく板も金属部分も、網も手作り感満載。近くの人に尋ねると、「『北村さん』が作ったった」。幼児向けらしい、かわいらしいゴールの背景には、北村弘さん(77)の熱い思いがあった。

手作りのゴールで遊ぶ子ども

「滑り台があったけれど老朽化で撤去したので何か遊ぶものをと。子どもたちがここでたくさん思い出をつくって、新荘、また丹波篠山をもっと好きになってほしいと思いましてな」―。北村さんが爽やかな笑顔を浮かべる。「言い出しっぺは自分やけど、村の有志が快く手伝ってくれた。仲間のおかげです」

思いの源泉は、「祭りや楽しいことが大好き」。太鼓みこしや鋒山の巡行で知られる篠山春日神社(同市黒岡)の目の前、二階町で生まれ育ち、今も祭りの血が体にたぎる。新荘で暮らすようになってからも、これまでなかった太鼓みこしを有志の手弁当で製作。子どもたちを乗せて平成元年にデビューし、新たな「伝統」になっている。

古希を過ぎ、喜寿の年になっても、個人で子どもたちが遊ぶイベントを開く。「無邪気な顔を見るのが面白い。結局、自分が楽しいからやってるんですわ」と笑った。

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