災害を疑似体験 情報共有で住民ら カードゲーム作成

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「地域でつなごう助け合い―情報共有シミュレーションゲーム」の部品の一部

住民生活の課題解決に向けて協議する組織「柏原地域支えあい推進会議」(田中義人委員長)が、災害発生時に住民同士の助け合いで「誰ひとり取り残さない防災」を目指そうと、情報共有の大切さや地域の一員として何ができるかを再確認するカードゲーム「地域でつなごう助け合い―情報共有シミュレーションゲーム」を開発した。大地震や大雨の被害は広範囲に及び、全ての現場に救急隊や消防隊が駆け付けられるとは限らない。ゲームを通して、その場に居合わせた住民がさまざまな状況にいかに対応するかを疑似体験する。

ゲームは、2030年、巨大地震が発生した丹波市が舞台。数人ずつのチームでプレイする。プレイヤーの使命は、▽世帯名簿・安否確認表をもとに住民の在宅・不在を確認し、不在の場合は現在の居場所を特定▽ゲームの途中で発生する、火災の初期消火や寝たきりの住民の救助など、アクシデントへの対処方法を解答用紙に記入し、「防災センター」役に提出―の2つ。制限時間は50分。

ゲームを体験する柏原地域の自治会役員や民生委員・児童委員ら=兵庫県丹波市柏原町柏原で

世帯名簿・安否確認表や、さまざまな情報が記された複数枚のカードが配られ、ゲームが始まる。カードには災害前後に見聞きした情報が書かれており、自分が持っている情報とほかの人が持っている情報を組み合わせることで、住民の安否確認やアクシデントへの対処方法が分かるようになっている。

ただし、自分の持つカードをほかの人に見せることはできず、書かれている情報は全て口頭で伝え合うルール。他者との積極的なコミュニケーションが課題達成の鍵となる。

世帯名簿は、更新が遅れがちな実情を踏まえ、意図的に古いデータが記載されており、転・入居者や年齢などに若干の誤りがある設定。リアルを追求して、現在の柏原地域の高齢者や認知症患者、外国人居住者などの割合をもとに算出した住民構成とした。

神戸市消防局が制作した災害協力シミュレーションゲームをもとに、同会議が約1年かけて柏原地域の実情に合った内容に書き換えた。

同会議メンバー14人をはじめ、同地域の自治会役員、民生委員・児童委員、市の介護保険課職員ら計約50人がこのほど、柏原福祉センターでゲームを体験した。

アドバイザーとして出席していた兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科の澤田雅浩准教授と、県社会福祉協議会地域福祉部の永坂美晴さんは講評で、「地域がもともと抱えていた課題が、災害時に大きな被害につながる」「個人情報の保護が叫ばれている昨今だが、有事の際の個人情報の取り扱いについて話し合いを深めてほしい」などと伝え、「誰一人として犠牲者を出さないという考えのもとで進められている皆さんの取り組みは、県内でも全国でも数段飛びぬけている」などと高く評価した。

田中委員長は、「人口が減る将来、災害時、行政の救助・支援を頼るのが困難なことが目に見えており、住民同士で助け合わないと立ち行かない。ゲームを通じ、向こう三軒両隣の意識が高まれば」と期待する。

春日住民センター(同市阿春日町黒井)で19日に行われる市自治会長会理事研修会で同ゲーム体験を計画している。

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