「うまいもん甲子園」近畿へ 農業高生考案のおにぎり 「SDGs」観点で創意工夫

2022.08.09
地域

「うまいもん甲子園」で近畿エリア大会への出場が決まった篠山東雲高のメニュー「デカンショアルプス」

全国の高校生による創作料理コンテスト「ご当地!絶品うまいもん甲子園」(一般社団法人・全国食の甲子園協会主催)に出場した兵庫県立篠山東雲高校3年生3人の応募メニューが、書類審査による1次審査を通過し、22日に大阪市内で開かれる近畿エリア大会への出場が決まった。メニューは、地元食材をふんだんに使い、3種類の味が楽しめるボリューム満点のおにぎり「デカンショアルプス」。同校産の酒米から造った日本酒「東雲の穂」から出る酒かすや、黒豆みその製造過程で出る煮汁など、廃棄されがちな副産物も生かし、持続可能な開発目標(SDGs)の観点から創意工夫を凝らした。

「うまいもん甲子園」近畿エリア大会への出場を決めた篠山東雲高の生徒たち=兵庫県丹波篠山市福住で

出場した生徒は、髙橋華さん(篠山中出身)、市原蘭夢さん(西紀中出身)、馬場瞬君(丹南中出身)。特産品の加工などについて学ぶ「フード・インスティテュート類型」を選択しており、課題研究の一環で、同大会に出場する郷土料理を開発した。

おにぎりは「黒豆赤飯」「みそ焼おにぎり」「ぼたん煮ぎり」の3種類。黒豆赤飯は、黒大豆の煮汁を入れて炊いた米に、黒枝豆と丹波栗を具材として混ぜた。みそ焼きおにぎりには、加熱した同校産黒豆みそなどを表面に塗る。ぼたん煮ぎりは、臭み取りに効果があるという酒かすなどに漬け込んだ猪肉を使い、肉巻きおにぎり風に仕上げた。米はいずれも同校産の「ヒノヒカリ」を使用した。

盛り付けでも工夫をみせた。山の芋のメレンゲで丹波霧の雲海を表現。その上に、緑豊かな丹波篠山をイメージして丹波茶塩をかけた。3つのおにぎりを、多紀連山をイメージして並べた。

生徒が地元の多紀小学校で食育授業を行っていることを伝え、SDGsの4番目の目標「質の高い教育をみんなに」に貢献していることもアピールした。

髙橋さんは「3人で協力して考えた。ほっとした」と喜ぶ。馬場君は「近畿大会ではメインでプレゼンする。地域の特産品や良さをアピールしたい」と語った。市原さんは「みんなで試行錯誤して作ったメニュー。全国大会出場が目標」と誓った。

11回目を迎えた同コンテストには、全国から323チームが出場。テーマは「ご当地食材を活かした『SDGs』×地元の看板メニュー開発」。全国7エリアの大会で、プレゼンなどが審査され、各エリアから1チームずつが決勝大会に進む。近畿エリア大会には5チームが進出した。

◆「和菓子甲子園」にも出場 近畿で奨励賞

「ささやまのマチュピチュ」

市原さんと馬場君の2人は、高校生が和菓子作りの技術を競う「全国和菓子甲子園」(全国菓子工業組合連合会青年部主催)にも出場し、近畿大会で奨励賞を獲得した。13回目を迎えた今年のテーマは「SDGs」。2人は、県の特産食材と、酒かすと黒豆の煮汁という廃棄されがちな副産物を組み合わせたオリジナル和菓子「ささやまのマチュピチュ」を考案した。

「日本のマチュピチュ」と呼ばれる竹田城から着想。淡路島産レモンの皮を散らして黒大豆の煮汁を生かしたメレンゲせんべいと、レモンで作った金平糖を土台にし、その上に丹波茶と黒大豆の煮豆を使ったわらびもちを中心に据え、周りを酒かすと山の芋を生地にしたかるかんで囲んだ。

市原さんは「生地作りを頑張ったのに、全国に行けず悔しい」と話し、馬場君は「悔しさをばねに、うまいもん甲子園でリベンジして全国に行きたい」と語った。

和菓子甲子園には、全国139チームが出場。近畿大会には、49チームの中から書類審査で選出された8チームが進み、2チームが全国大会へ進出。そのほかの6チームに奨励賞が贈られた。

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