「歯の神」信仰の白山神社 蛇持つ謎の女性像も

2022.08.18
たんばの世間遺産地域歴史

白山神社の前に立つ今井さん(左)と江川さん。社殿の周囲と鳥居の柱がブロックで形成されており、珍しい構造=兵庫県丹波篠山市佐貫谷で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市雲部地区佐貫谷にある「白山(はくさん)神社」です。

地元では70年ほど前まで、「歯の神」として信仰されていた。「次の元気な歯が生えるように」と願い、抜けた下の歯は社殿の屋根に向かって投げ、上の歯は社殿前の土の中に埋めるという、独特の風習があった。

社殿の中には、とぐろを巻く蛇を手にする女性の像が保管されている。普段は公開していないが、郷土史に詳しい今井進さん(73)=佐貫谷=と、宮総代の江川清さん(70)=同=の厚意で特別に見せてもらった。

社殿に保管されている女性像。金や赤、緑、水色のきらびやかな装飾着をまとい、とぐろを巻く蛇を手にしている

高さ13㌢ほど。女性像に関する文献は、同神社や地元などでは一切残っていないという。今井さんは「謎や」と首をかしげながらも、「ヘビは脱皮して再生する生き物。歯の再生を願うという意味で、蛇を持つ白山姫の像がある白山神社が、歯の神として信仰されるようになったのかも」と仮説を立てる。

また、社殿の周囲と鳥居の柱はブロックで形造られている。およそ60年前に荒天で倒壊し、建て替えられたそう。物珍しい構造からか、サイクリングで立ち寄る人も多い撮影スポットにもなっているという。

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