「消しゴムはんこ」画集に 絵手紙スタイルの120点 古希のつぶやき添え

2022.08.20
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「けしごむはんこ画集」を自費出版した依田さん=2022年8月8日午前9時51分、兵庫県丹波市柏原町柏原で

兵庫県丹波市柏原町の依田教子さん(73)が「けしごむはんこ画集―今からいまから古希のつぶやき」を自費出版した(丹波新聞社印刷)。草花を中心に、食べ物や生き物をモチーフに消しゴムではんこを作り、スタンプして描いた作品計約120点を掲載している。はんこに塗布するインクの濃淡や色遣いを工夫し、花びらや葉に質感や立体感、奥行きを持たせている。また、絵のそばに自身で「つぶやき文」と呼ぶ日頃の思いや願いなどを書き添え、絵手紙スタイルで一つひとつの作品を仕上げている。

カラー約100ページ、A4スクエアサイズ(21センチ四方)。6章からなり、1―4章は春夏秋冬それぞれの季節に見られるカタクリやヒマワリ、カラスウリ、クチナシの実などの作品を掲載している。5章は「食べ物」の章として、つるし柿やえんどう豆などを、6章は「生き物」の章として、メダカやペンギンなどの作品を披露している。

作品のほとんどに「豊かな人生とは幸せと思う瞬間をつみ重ねることかな 瞬間、瞬間を大切に」「数えきれないやさしさに助けられている 気がつかないうちに」などの「つぶやき文」を添えている。「自分を励ますつもりでしたためたが、共感し、元気が出た、前向きになれた、と言ってくださる人もいてうれしい限り」と目を細める。

身の回りの草花などを実物大でスケッチし、その原画を拡大したり縮小したりしながら、はがきサイズの大きな消しゴムに写し、カッターナイフや彫刻刀で彫っている。

野花が好きで、30歳の頃からスケッチを始めた。50代後半となった2007年、描きためたスケッチで消しゴムはんこを作ることを思いついた。手軽に始められる一方で、奥の深い世界にはまり、2011年からは作品で表紙を含む13枚つづりのカレンダーを10年間制作し続けた。

「一度、たまった作品をまとめてみたら」と長女に背中を押され、新作を加えて画集を出版することにした。

32歳から「くもん」の講師を生業とし、現在も現役。3人の子育てが終わり、時間に少し余裕ができた50歳から、「自分磨き」として写真、絵画、ピアニカ、オカリナ、ピアノ、ガラスリッツェン、柿渋染め、グラウンドゴルフ、卓球など多彩に趣味を楽しんできた。

その一つとして消しゴムはんこを独学で始めて以来、技術と感性を磨き、17年には同県加西市美術展の版画の部で奨励賞を受賞。20年からは地元の柏原自治会館で毎月1回、教室を開いている。

古希を過ぎた今でも、「面白いことはないかなあ」と常に好奇心のアンテナを張り巡らせている。「画集の裏表紙にも載せているつぶやき文『人生はこれからもっといいことがある きっとある』の言葉を胸に、この先も好きな花を中心に消しゴムはんこ作りに励みたい」とほほ笑んでいる。

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