明治に落下「隕鉄」 宇宙からの贈り物

2022.08.28
たんばの世間遺産地域歴史自然

118年前に今福に落下した隕鉄「岡野号」のレプリカ

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市今福集落の「隕鉄」です。

夜空に一筋の線を引く流れ星。地上に落ちれば隕石だが、118年前、丹波篠山市岡野地区の今福集落に落下したのは「隕鉄」だ。地域住民らは、この貴重な”宇宙からの贈り物”をより多くの人に知ってもらいたいとPRに力を入れている。

「岡野号」と命名された隕鉄は直径約18センチ、重さ4・74キロ。明治37年(1904)4月7日午前6時35分ごろに落下した。記録には、「雷鳴のごとき凄然たる音響を聞くと同時に、一個の大球、西方より飛来り、瞬時にして巨砲を発したるがごとき響きありて震とうす」とある。

整備された隕鉄の落下地点=兵庫県丹波篠山市今福で

近くの畑勝蔵さんらが駆け付けたところ、木の根元にできた穴から隕鉄を発見。寄贈した京都大学で成分が調査され、隕鉄の中でも希少なものと判明した。

岡野小学校の児童も隕鉄を学び、キャラクターも作った。昨年3月には岡野ふるさとづくり協議会が落下地点を整備するなど、学びと地域活性化の両面で隕鉄が活用されている。

勝蔵さんの孫・利清さん(74)は、「看板も整備されたことで見に来る人が増えた。科学や宇宙に関心を持つきっかけになる。多くの人に知ってもらいたい」と笑顔。特産の山の芋や黒大豆を使った「流れ星饅頭」の制作も考えており、「『食べたら願いが叶います』と言ったら楽しんでもらえへんかなと思っています」と話している。

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