迎賓館で利き酒体験 虚子ゆかりの「三三庵」 直筆の俳句の掛け軸も

2022.08.24
地域

高浜虚子直筆の句の掛け軸が掛けられている「三三庵」内の和室=2022年8月1日、兵庫県丹波市市島町中竹田で

兵庫県丹波市市島町中竹田の西山酒造場が、酒造場の敷地内にあり、国の登録有形文化財になっている建物「三三庵(ささあん)」を、利き酒体験などを楽しめる場として特別開放している。同酒造場の銘酒を「小鼓」と名付けた俳人の高浜虚子をはじめ、多くの俳人や画人らを迎えた木造2階建ての建物で、室内には虚子直筆の俳句の掛け軸などが飾られている。

同酒造場の3代目社長で、虚子に師事した俳人でもあった泊雲(本名・亮三)が亡くなる前年の1943年(昭和18)に建てられた。泊雲の長男で、同じく俳人だった小鼓子(本名・謙三)が、迎賓館として建てたという。「三」は吉祥の数字とされることや、「酒」を「ささ」と言ったことから「三三(ささ)庵」と名付けたよう。

泊雲は、虚子の主宰した俳誌「ほととぎす」の代表的な作家だった。虚子はたびたび同酒造場を訪れており、45年には泊雲の墓参りのため、長男で俳人の高浜年尾、次女で俳人の星野立子を伴って訪問。三三庵でくつろいでいる写真が同酒造場に伝わっている。

1階には和室3室と洋室があり、和室の床には、泊雲の死を知った時に虚子が詠んだ句「紫苑(しおん)咲く浅間颪(おろし)の強き日に」など、泊雲に捧げた句の掛け軸3幅が掛けられている。

三三庵は長く使われず、空き家状態になっていたが、文化資源を生かして地域貢献ができればと、特別開放することにした。「小鼓」の純米大吟醸3種類と地元食材のペアリングが楽しめる利き酒体験(30分)のほか、敷地内見学(15分)や直売所での買い物(15分)も楽しめる。蔵人が酒の説明をする。1人2750円。3人から。9月30日までで、受け入れ時間は午後1―4時。7日前までの予約が必要。

利き酒体験は、JR西日本の兵庫デスティネーションキャンペーンと連携してのイベントだが、同酒造場女将の西山桃子さんは「今後も三三庵を活用した企画を展開したい」と話していた。

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