里山触れる「パスポート」 黒豆の栽培体験企画 「第2のふるさとに」

2022.09.03
地域

体験現場となる畑で、「黒豆PASS」への参加を呼び掛けるウイズささやま職員の生野雅一さんと大西由喜さん=2022年8月26日午前9時57分、兵庫県丹波篠山市下筱見で

文化遺産を生かした地域活性化事業などに取り組む、兵庫県丹波篠山市の一般社団法人「ウイズささやま」が、黒大豆の農業体験プログラム「丹波篠山黒豆PASS」を始めた。参加者は、参加する権利「パスポート」を購入し、同市内で栽培や収穫、草引き、防除作業などを体験。黒大豆を入り口に市内を複数回訪れ、地域住民と交流しながら、里山に根付く文化や魅力に触れてもらう。観光庁の補助金を活用する。

持ち帰れる黒大豆の株数や農業体験への参加回数に応じ、4つのプランを用意している。元々遊休農地だった同市下筱見にある約1反の畑で、黒大豆の有機栽培を体験。今月から来年2月までの毎月2日間、月ごとに内容を変えた体験日を設定しており、購入者は好きなタイミングで訪れることができる。

最も安価な「お試し」(1万円、5株)は、農業体験と「黒枝豆収穫祭」へ1回ずつ参加できる。「たっぷり」(3万円、15株)か「お試し+α」(5万円、30株)を購入すれば、農業体験に参加し放題で、収穫祭には2回参加できる。「お試し+α」には、黒豆みそづくりか農業倉庫を改修するワークショップに参加できる券も付く。1うね10万円の団体向けプランもある。

また、全てのプランに、フェイスブックのオンラインコミュニティへの入会券が付く。コミュニティには地元住民も入っており、丹波篠山の情報などを交換できる。

同市村雲地区在住で、大阪から移住した30―40歳代の農家3人が、農業体験の指導や畑の管理に協力。共に同市大芋地区で民宿を運営する梅谷美知子さんと田川剛さんが案内役を務める。

観光庁から採択された、今年度の「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」の補助金約600万円を活用する。同事業は、地域経済を支える観光業界の復興に向け、地域関係者が連携して実施する事業を支援するもの。

同法人は、全国的に名高い黒大豆を生かし、「1日限りの農業体験や開催日が決められたツアーではなく、ゆるく、長く関われる体験プログラムを」と企画。「一流ブランドの黒豆を入り口に、ガイドブックや交流サイト(SNS)の情報より1歩、2歩先に進んだ体験をしてもらえるのでは。参加者にとって第二のふるさとになれば。移住者だけでなく、定期的に足を運んでくれるファンを増やしたい」と、より密な関係人口の創出を目指している。

今月は10、25日に、手作りの害虫忌避剤の散布や草引き、土寄せを行う。持ち帰る黒大豆は、枝豆か黒豆かを選べる。

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