城跡染める満開の桜 名所発祥の地を示す石碑

2022.10.19
たんばの世間遺産地域歴史観光

毎年美しい花を見せてくれる東堀の桜=2022年4月、兵庫県丹波篠山市北新町から撮影

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は桜の名所としても知られる篠山城跡の桜並木の始まりを伝える「石碑」です。

桜の名所として知られる兵庫県丹波篠山市の篠山城跡一帯。満開を迎える季節になると、多くの観光客や市民が花をめでる。そんな名所の「発祥の地」となった場所が、同市東新町に隣接する「東堀」であることを示す石碑が今も残る。

市教育委員会がまとめた「史跡篠山城跡保存管理計画」や地元住民によると、大正4年(1915)、大正天皇の即位を記念し、篠山町青年会が数百本の桜を東堀に植樹。この植樹を記念し、「大禮記念樹」と彫られた石碑が東堀にある。

大正天皇の即位を記念して植樹したことを示す石碑

この植樹がきっかけとなり、本丸や二の丸、三の丸内にも桜が植えられ、水をたたえる堀や石垣と桜が共演する美しい景観がつくられた。昭和28年(1953)には、県観光連盟から県内桜4大名所の一つに選定されている。

青年会の流れをくむ市商工会青年部が防虫対策などを続けており、今も元気に花を咲かせている。

東新町の若手でつくる「あづま会」の奥山慎平会長は、「相当な年数がたっていると思うけれど、青年部のおかげもあって今も花を見せてくれる。篠山城跡への玄関口でもあるので、これからも大切にしていきたいですね」とほほ笑んでいる。

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