大学と共同開発「赤じゃが」 名門ホテルでも使用の特産品

2022.11.06
たんばの世間遺産地域

2009年から栽培している特産品「丹波の赤じゃが」=兵庫県丹波篠山市真南条上で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市真南条上地区の特産品「丹波の赤じゃが」です。

地元の営農組合と神戸大学が共同開発したジャガイモの品種「ネオデリシャス」を、2009年から商品名「丹波の赤じゃが」として栽培している。地区内の50アールほどで栽培し、収穫時期は7月と12月の2回。発売当初から、名門・神戸北野ホテルのフレンチレストランのメニューに使われたり、食品スーパー「トーホーストア」(本社・神戸市)で販売したりしている。7年ほど前からは袋菓子「赤じゃがポテトチップ」も販売している。

都市部の農村ボランティアの協力も得て栽培している

ネオデリシャスは、丹波篠山市にあった県立兵庫農科大学(現・神戸大)の川上幸治郎教授が1972年、名城大学時代に作った品種で、丹波篠山との縁も深い。表皮が赤く、中身が黄色で、でんぷん価が高いのが特長。その一方で通常の栽培法では芋が大きくなり過ぎて中に空洞ができることから、同大がより小さく育てる方法を確立した。共同開発当初から関わっている真南条営農組合顧問の酒井勇さん(79)は、「肥料の加減に工夫が必要だが、基本的に栽培しやすい」と話す。

13年間、地域の新たな特産として大切に育ててきたが、酒井さんは「赤じゃがの需要は見込めるが、組合員の高齢化で次世代への引き継ぎが課題」としている。

関連記事