「こども園留学」スタート 田舎の子育て「お試し」を 都市部の移住希望者呼び込む

2022.12.13
地域

元気に遊ぶ認定こども園あおがきの園児たち=兵庫県丹波市青垣町沢野で

自然と親しむ保育、幼児教育に関心がある都市部の子育て世代の「お試し移住」に使ってもらい、青垣地域に移住するきっかけにしてもらおうと、兵庫県丹波市青垣町にある「認定こども園あおがき」を運営する青垣福祉会(足立光蔵理事長)が、最大で月当たり12日間、未就学の子どもを預かる「こども園留学」を始めた。「自然」を園の特色に打ち出し、幼児期の子どもの保育、教育環境に関心が高い層を都市部から呼び込みたい考え。

過疎と少子化に悩む北海道南西部の厚沢部(あっさぶ)町の認定こども園が、自然を売りに東京都内などから利用者を呼び込んでいるのを知った足立理事長(70)が発案。157人が在籍するあおがき(定員165人)も、5歳児47人、4歳児32人の下は10―20人台で、同じ悩みがある。

同園は今年度、「自然」を目玉にした園活動をと、第2園庭(同町東芦田、約2760平方メートル)を整備。芝生を張り、実のなる木など170本の樹木を植え、泥遊びや火起こし体験などの自然体験ができるようにした。これをセールスポイントに、移住希望者に訴求しようと考えた。

整備が進む第2園庭(今年7月)

「一時預かり」制度を利用。子どもを園に預けて「田舎で子育て」を試しつつ、預けている間に、保護者に田舎の生活に触れてもらう。住居は、同町内の宿泊施設を紹介。移住相談窓口「たんば“移充”テラス」がコーディネートする。

「留学」定員は、1日当たり5歳児2人、4歳児1人。他園に在籍している園児も利用できる。都市部の園を一時的に休み、その間、あおがきで過ごせる。

足立理事長は、「園児数が100人を切るような状況がある。第2園庭で、しっかり自然体験ができるので、お試しで利用を。その先で移住を考えてもらえれば。都市部から来る子と切磋琢磨して成長してほしい」と願う。安田千代園長(62)は、「与えられたおもちゃでなく、自然の中で自ら考え、遊び、友だちと協働を学ぶ。自然と食育で、園児の五感をフル活用させる」と話している。

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