亡き父母の茶室”復活” 娘が女性専用サロン開業 和の空間で癒し届ける

2022.12.12
地域

茶室に施術台を置き、サロンを始めた家治川さん=兵庫県丹波篠山市打坂で

兵庫県丹波篠山市打坂の家治川香(かおり)さん(60)が、亡き両親が大切にしてきた茶室「龍松庵(りゅうしょうあん)」を活用し、リラクゼーションサロンを開業した。地域の癒やしのサロンとして復活。「二人の大切にしてきたものを引き継ぐことで、両親も喜んでくれているのでは」と話している。

落ち着いた雰囲気の茶室に施術台1台を置いた、女性専用のもみほぐしサロン。店名は「龍松庵」を引き継いだ。「和室の空間が落ち着くとの声をいただき、茶室を活用して良かった」と話す。

茶庭を整理し、リラクゼーションサロンに生まれ変わった茶室

国鉄職員だった父の岡澤俊治さんが退職記念に、茶道と生け花が趣味だった妻の喜志子さんに茶室をプレゼント。俊治さんも茶を始めた。喜志子さんも小学校教諭をやめ、一緒に茶を楽しんだが、俊治さんはその5年後に亡くなった。

喜志子さんは退職後、地元の同市西紀地区の子どもたちに「身近なおばあちゃんの温かみを」と活動した婦人団体「グランマにしき」の代表を務めた。子どもたちと一緒に料理を作ったり、昔遊びをしたりして、触れ合ってきた。龍松庵は、この活動の中で小学生が茶道を体験し、喜志子さんから作法や、相手を思いやる心を学んだ大切な場所でもある。

喜志子さんは今年1月、95歳で死去。喜志子さんの看病と、実家を引き継ぐため、家治川さんは夫の勝さんと共に同県三田市から移住した。茶室を取り壊す話もあったが、両親が世話になった地域に恩返しができないかと、家治川さんが三田市の自宅で5年ほどやっていたリラクゼーションサロンを茶室で行うことにした。水回りのみを改修し、茶室の雰囲気をできるだけ残し、茶庭も剪定するなど整理した。

サロンの情報は、インスタグラムで発信している。予約制。

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