ロード用新タイヤ好調 業容拡大で倉庫増設 専業メーカー「パナレーサー」

2023.02.19
地域

大ヒット中のロード用「アジリスト」(左)と、砂利道用「グラベルキング」を手にする大和竜一社長=兵庫県丹波市氷上町石生で

国内唯一の自転車タイヤ専業メーカー「パナレーサー」(兵庫県丹波市氷上町石生、大和竜一社長)が、JR石生駅近くの同社敷地内でテント倉庫の増設を進めている。ECサイトを通したネット販売が増え、在庫を持つ事業量が増えたことによる。国内事業は新タイヤの発売もあり、堅調な一方、海外需要は激減。密にならない身近なレジャーとして追い風を受けていたが、新型コロナの行動制限が欧米ではいち早く緩和され、他のレジャーにお金を使うようになったことや、ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格が高騰し、可処分所得が減ったことが要因。今期(2022年4月―23年3月)は前年並みの売り上げとなるが、新商品を投入するなど拡販に努め、再成長を目指している。

業績推移

ECサイトは、「楽天市場」と、自社で展開。売上に占めるEC比率が、今期の20%弱から、来期は20%を超える見込み。タイヤのほか、ポンプなど関連商品を含め、従来以上に自社で在庫を持つ必要が生じた。

自転車業界の盛り上がりによる海外向け事業が牽引し、20年は対前年比117%、21年は同118%と大きく売り上げを伸ばした。昨秋まで、海外の受注残が90万本、納品まで400日待ちと、製造がてんてこ舞いだったが、落ち着いた。今期売上に占める海外事業の割合は4割程度と見込む。

建設が進むテント倉庫

昨年3月に新発売したロード用(舗装道用)タイヤ「アジリスト」が好調で、2・5万本の見込みの倍以上を売り上げている。走りの軽さ、しなやかさがあり路面を捉えるグリップ力も優れている。今春、タイヤサイズの追加もし、さらなる浸透をはかる。

海外では、砂利道や山道を走るアウトドア系のバイク「グラベル」が、楽しみの一つとして定着しており、同社が開発した専用タイヤ「グラベルキング」がアメリカで昨年、120万本を売り上げ、同国内メジャー大会のシェアの25%を占めるなど、大ヒットしている。今後、国内で同商品を紹介し、ユーザーを増やしていく。

大和社長(58)は、「海外市場が縮小している今をチャンスと捉え、各国のディストリビューター(卸売業者)と関係を密にし、営業基盤を拡充したい」と、前向きに捉えている。

国内向きでは「アジリスト」に力を入れる。「ロード用タイヤは硬く、レースを走る人向きと思われがちだが、すごく軟らかい」と、ユーザーの裾野を広げたい考え。また、「国内では、『グラベル』自体が知られておらず、まだまだだが、楽しみ方を含め、紹介していきたい」とも話している。

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