”地域が集う”百貨店に 売り上げ過去最高6億円へ 見る・買う楽しみ充実 道の駅「おばあちゃんの里」

2023.02.14
地域

大盛況だった黒枝豆の販売。客が長い行列を作り、にぎわいを見せた=兵庫県丹波市春日町七日市で(2022年10月)

兵庫県丹波市の「道の駅丹波おばあちゃんの里」の今年度の売り上げが、1月末時点で過去最高となる約5億3500万円に上り、年度末で初めて6億円を超える見込みとなった。これまでは年間3億円台で推移しており、大幅な伸びを記録。レジ通過客数も3月末で過去最高の約40万人となる見込み。支配人の野原正章さん(52)によると、昨春に物産館の売り場面積を約2倍に拡張したほか、「ちいき百貨店」と銘打ち、取り扱う商品を拡充して客が選択できる幅を増やしたり、メディアへの露出を増やす広報力の強化、近隣地域ごとで違う観光シーズンを考慮し、各地に向かう観光客を呼び込む 「客の共有」 を図ったことなどが要因に挙げられるという。

地域の商品増やす

コロナ禍前の2019年4―12月と比較すると、売上は昨年同期で167%、レジ通過客数は110%、客単価は140%の1422円、購入点数は146%の約121万点と、軒並み数字を伸ばした。

野原さんによると、特に着目したのは客の購入点数と単価。「見る楽しみと、買う楽しみを追求した。品数を拡充する地域力の結集に力を注いだ」と言い、商品数は19年度比で150%とした。ベーカリーや総菜など自社製造商品を見直して品数を絞り、その分を地域商品の充実に注いだ。

「演出」にもこだわり、商品は木質感のある棚に陳列。「丹波は、食に関して好印象を抱かれている地域。このイメージに近いものを、どれだけ展開できているのか。ふさわしいものが、ふさわしい状態で売られているかの目線を重視した」と話す。

農産物を供給する生産者部会の実績に目を移しても、19年同期比で171%となる過去最高の1億3257万円を記録し、年度末には1億5000万円に達する見込み。同部会には215人が会員として所属しているが、野原さんは供給面に反省点があると言い、「買ってもらえるのに、商品がないという“チャンスロス”があった。地域からの供給量をどう確保するのかは課題だ」と話す。

広報戦略を強化

丹波の「食」のイメージを生かした企画も展開。黒枝豆を例にとると、昨年7月ごろから早生品種の販売を始め、「ここに来れば買える」というイメージを客に認識してもらうことを試みたところ、“本番”を迎えた10月の連休には、黒枝豆を求める客が長蛇の列を作った。

これを助けたのは、強化した広報戦略。テレビや雑誌、新聞、フリーペーパーなど、21、22年度で計63媒体に露出。広報関係を担う経営管理室総務企画係長の早形敏樹さんは、「おばあちゃんの里という存在を認識してもらうのが先。このきっかけづくりが各媒体への露出」と言い、商品やイベント関連など情報更新の頻度を高めた店舗ホームページへのアクセスにつなげたという。

野原さんは「地域にどのような経済効果を与えられるかが、道の駅に与えられた使命。ここから観光客の市内周遊につなげられたら。今後は、都市部に出向いて丹波を売り込む宣伝活動に力を入れたい」と意気込む。

国が新型コロナの法律上の位置付けを、今年5月8日に「5類」に移す方針を示していることに触れ、「今以上に人の動きが活発化するはず。コロナで人のライフスタイルや価値観、ワークスタイルなどが変わり、その変化にスピード感を持って順応できるようにしたい」と話している。

同施設は昨春、物産館の拡張や、大型の遊具を新たに設置するなどしてリニューアルオープン。今年3月には親子トイレが完成予定で、子育て支援にも力を注いでいる。

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