故郷で奮起誓う 大相撲力士の千代栄関 「元気とパワーもらった」 母校にも凱旋、児童は「ちぎりパンみたいな手だった」

2023.02.19
地域

「励ます会」で後援会のメンバーらに囲まれる千代栄関=兵庫県丹波市市島町上田で

兵庫県丹波市春日町七日市生まれの大相撲十両力士で、九重部屋に所属する千代栄関(32、本名・岸栄太)がこのほど帰郷し、「丹波千代栄後援会」主催の「励ます会」に参加、前日には母校の春日部小学校で児童と交流した。恩師や後援会関係者、後輩から励ましの言葉を受け、故郷の温かさに触れた千代栄関。2場所連続で負け越しており、「元気とパワーをもらった。落ち込んでいるひまはない」と、3月大阪場所での奮起を誓った。

「励ます会」は、昨年発足した後援会の初めての催し。約60人が参加した。春日部小時代の恩師や、京都共栄学園高時代に柔道部顧問だった柿原功二さんが登壇し、当時の思い出を語った。小学校時代の恩師らは「体は一番大きかったが、気持ちの優しい子で、女の子にきつく言われるとすぐ涙が出ていた」などのエピソードや、卒業アルバムに「柔道で日本一になるためにがんばりたい」と書いていたことなどを紹介した。

柿原さんは、千代栄関が団体戦の大将として戦った、高校3年夏のインターハイ京都府予選のビデオ映像を上映。千代栄関が勝ってインターハイ出場を決め、埼玉で行われた全国大会に行った際、初めて元横綱千代の富士(先代九重親方)と会ったことを明かした。

また千代栄関は、「あまり良い稽古ができなかった日、先代の九重親方から『そんな稽古だったら親が泣くぞ』と言われたことが今も印象に残っている。泥と汗にまみれながら、うるっと涙が出た」などと、新弟子時代の思い出を語った。

母春美さんの幼なじみで、後援会事務局を務める吉見宣行さんは、春美さんが10年間、毎場所、蛍光ペンで印を付けた番付表を送ってきていたと話し、伯父の吉見正利さんは「小さい頃からよく食べていて、回転ずしでは100皿食べて驚かせていた。3月の大阪場所は絶対に勝ち越してくれると思う。今一度のご声援を」と締めくくった。

束になって向かってくる児童に押される優しさをみせた千代栄関=兵庫県丹波市春日町多利で

春日部小では、1、2年生の児童と8、9人対1人のハンディキャップ戦で相撲対決。体重160キロの千代栄関の巨体を、児童はラグビーのスクラムのような形で隊列を組んで押し込んだ。

腕相撲でも、両手に全体重をのせた児童に負ける優しさを見せた。能勢さんは「むちゃくちゃ手が大きかった。柔らかく、ちぎりパンみたいだった」と感想を話した。

千代栄関は「元千代大海の九重親方にご指導いただいている。13年かかって、やっと十両になれた。小学校の頃はみんなと同じように、体育館で遊んだり、勉強したりしていた」とスピーチした。

児童の「ご飯はどれぐらい食べますか」「服のサイズは」の質問に「自分は大盛り3杯、新弟子は体を大きくするために、5、6杯食べる」「6Lサイズを着ている。もっと大きい7L、8Lの人もいる。靴は30センチ。このサイズはあまり売っていないので、ネットで買っている」などと話した。

「フレー、フレー千代栄」と、全校児童からエールを送られ、「また来場所を頑張るきっかけができた」と謝辞を述べた。

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