旧遠阪小の「ミソ貯蔵庫」 みそ汁給食用に仕込む

2023.03.13
たんばの世間遺産地域

木造から鉄筋コンクリートに建て替わった1983年に整備された「ミソ貯蔵庫」=兵庫県丹波市青垣町山垣で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波市青垣町遠阪地区・山垣の旧遠阪小の「ミソ貯蔵庫」です。

廃校になった旧丹波市立遠阪小学校に、今も残る「ミソ貯蔵庫」。戦後間もなく始まり、約60年続いた「みそ汁給食」を伝える歴史的建造物だ。

兵庫県丹波市青垣地域で学校給食が始まったのは、2005年4月。それまでは弁当だった。遠阪、神楽、芦田小では、冬の冷え込みが厳しい12月―2月末か3月初旬まで、PTAが交代で学校を訪れ、みそ汁を作った。児童は、「マイおわん」を用意し、当番によそってもらい、湯気の立つ熱々のみそ汁をすすって体を温めた。

食糧事情が思わしくなく、児童の発育を心配した遠阪診療所の女医が、冬場に栄養摂取をと地域に呼び掛け、遠阪から他地区に広がった。

みそは学校で仕込む「手前味噌」。仕込みは、用務員が担った。40年ほど用務員を務めた母の後を受け、1995年まで21年間務めた足立ちゑのさん(87)=同市青垣町山垣=が同校の閉校記念史「まるごと遠阪小学校」(2017年)で、農園を借り、自ら大豆を育て、近所の人からむしろを借り、仕込みの発酵の際にはPTAが交代で2晩くらい寝ずの番をしたと、緊張の日々を回顧している。毎年、4斗樽で2つくらい仕込み、2、3年寝かせて使っていた。

具の用意は当番の仕事。白菜や大根などの野菜は、始めの頃は、当番宅の子どもが持って登校していた。次第に保護者が野菜を運ぶようになり、肉や豆腐など購入が必要な食材はPTA会費から支出した。

自身も小学生時代に食べ、PTA調理当番をした足立洋子さん(67)=同市青垣町杉谷=は、「無添加で手作り。おいしいみそだった。仕込むのは大変だったと思う」と用務員をねぎらい、「子どもが『ありがとう』とバケツを返しに来る。すいっと空になっていると、うれしかった」と懐かしがった。

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