画伯からのプレゼント お雛様掛け軸に「春感じる」 おちょぼ口がにっこり

2023.03.26
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日本画家の山本茂斗萌さんから母へのプレゼントとして贈られたひな人形の掛け軸を大切に飾っている荻野さん=兵庫県丹波市市島町で

兵庫県丹波市市島町の荻野早苗さん(73)は、毎年3月になると、日本画家として活躍した山本茂斗萌さんが母・秀乃さん(98)へのプレゼントとして贈った、桃の節句の掛け軸を飾るのを楽しみにしている。今年も床の間に掛けて毎日眺めており、「目とおちょぼ口がほほ笑んでいるようで、優しい顔のおひな様たち。見るたびほっこりし、春の温もりを感じます」と話している。

荻野さん一家が柏原に住んでいた頃、祖父・恵之輔さんと山本さんが親しくしており、掛け軸が贈られたという。祖母のきみさん、母の秀乃さん、早苗さんと、母子3代で大切に飾り続けている。

山本さんは東京生まれで、東京美術学校(現・東京藝術大学)日本画科本科を次席で卒業。1928年(昭和3)から旧制兵庫県立柏原中学校に勤務しており、掛け軸はこの頃、プレゼントされた。36年(昭和11)に日展で初入選し、日本画家として有名になる前の作品で、本名の「求」のサインが書かれている。

絹地に描かれた朱色の着物は今も色鮮やか。荻野さんは「田舎は旧暦の名残りで4月3日頃までひな人形を飾る風習がありますが、長く見ていたいので、4月末まで飾っています」とにっこり。

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