里山に新たなモデルを 地域資源と経済の循環考え 講義スタート「目標は2030年」

2023.03.19
地域

自身がイメージする「循環」の姿をまとめた〝宿題〟を発表し、意見交換する参加者たち=兵庫県丹波篠山市今田町で

2030年を目標に、兵庫県丹波篠山市古市地区の田んぼや山を使った新たな里山のモデルを構築する取り組み「Be Satoyama2030」の第1回講義がこのほど、同市住山などで行われた。100人で育てた酒米で日本酒を造る取り組みを行っているプロジェクトチーム「ミチのムコウ」(リーダー=吉良佳晃さん)の主催。田んぼや山にある地域資源の循環と、そこから生まれるお金の循環(経済)の2つを柱に、日本酒ができるまでの農作業にも加わりながら実践、議論する。

講義は1年単位。「なんとなく続けている」状況に陥らないため、「2030年」という期限を設定。受講生には「〇期生」という形で長く関わってもらい、裾野を広げていくことを想定している。

東京、和歌山、滋賀、大阪などから6組8人が参加。神戸大学の学生2人が運営を手伝った。

参加者は、それぞれに自身がイメージする「循環」の姿をまとめた“宿題”を持って参加。活動の拠点となる住山、不来坂にある田んぼや山林、日本酒を仕込む酒蔵を回り、想定とのギャップや新たな気付きを得ながら見学した。

見学後は今田町にあるメンバー宅で、参加者が「宿題」を発表。企業活動の一環で参加した人は、木質バイオマスを活用した堆肥づくりなどを提案するも「現場を見ると、素人目線でしか見られていなかったことに気付いた」と述べた。

また、「循環」については全くの素人という参加者の一人は、自然の植物を使った芳香剤や草木染めを提案。「自分が身近にできることは、農家の苦労を思い、野菜を大事に食べること。地元の人で地元のことを知らない人もいるようなので情報発信はできそう」などと話していた。

今後は月1回のペースで活動し、農業や林業など農村の暮らし全体を見る中で、参加者が日本酒造り以外にもどんな切り口があり、自分はどの分野で力が発揮できそうかを探る。

同講義を担当する河口英樹さんは、「一方的な講義ではなく、受講生と議論しながら、2030年に里山の理想の姿が形になることを目指して、歩み出したい」と話している。

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