52メートルの「ジャンボ滑り台」 きっかけは児童の作文 住民が「少しでも」夢かなえ

2023.04.13
たんばの世間遺産地域歴史

長さ52メートルの滑り台を楽しむ児童たち。特別に「どんどん」滑ってもらったが、普段は滑り終えるまで次の人は待機=兵庫県丹波篠山市本郷で

当たり前にありすぎるけれど、住民が大切にしていきたいもの「世間遺産」―。丹波新聞では、兵庫県丹波地域の人や物、景色など、住民が思う”まちの世間遺産”を連載で紹介していきます。今回は丹波篠山市本郷にある西紀北小学校の「ジャンボ滑り台」です。

「あいさつ日本一」を掲げる児童たちの元気な声とともに、同校の〝名物〟が、体育館脇から15メートル下にある校庭に向かって伸びる「ジャンボ滑り台」だ。その長さ52メートル。昭和63年(1988)に設置された。

きっかけは北摂・丹波の祭典(ホロンピア’88)。実行委員会が祭典に合わせて小、中学生から作文を募り、同校の児童が知事賞を獲得した。タイトルは「すべりだいがほしい」。近くにそびえる多紀連山の山頂から同市遠方まで続く滑り台を設置するという夢のある作品だった。

夢で終わるかと思いきや、「少しでもかなえてあげたい」と動いたのが地元の建設業の男性。それまでにも長さ30メートルの滑り台やブランコなどを寄贈しており、新たに自費でジャンボ滑り台を設置した。

奥が長さ52メートルのジャンボ滑り台。その高さは15メートル。校庭を使うときは児童だけでなく、職員も滑って降りることがあるそう

以来、30年以上にわたって愛され続ける滑り台。近年はネットを取り付けたり、1人が滑り終えるまで次は滑らないなどのルールも作ったりして、安全に配慮しつつ、みんなが楽しめるように工夫している。

堀香織校長は、「子どもたちはもちろん、教職員も一度は滑っていると思う。来校した他校の先生や児童の中にも滑る人がいて、滑らずにはいられないようです」とにっこり。「滑り台を見るたびに地域に愛されている学校だと実感します」と話している。

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