アクリル板越しに元気な姿 特養入所の108歳が家族と面会 制限緩和策を試行

2023.05.04
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108歳の誕生日に、アクリル板越しに面会する大前としゑさん(左)と次男夫妻=兵庫県丹波市氷上町新郷で

兵庫県丹波市氷上町新郷の特別養護老人ホーム「松寿園」の入所者、大前としゑさんが108歳の誕生日を迎え、家族とアクリル板越しに面会した。新型コロナ前から入所しており、新型コロナ上陸以降、最接近の面会。としゑさんは、誕生日プレゼントにリクエストした毛糸と編針を差し入れてくれた、次男の一茂さん(81)と妻の裕美さん(77)=同市氷上町清住=を、「コロナの間は部屋からあまり出ず、マスクを着けて過ごした。老人にとって怖いと言われているけれど、老人が一番元気だった」と笑わせ、楽しいひとときを過ごした。

同市柏原町大新屋生まれ。20歳で清住に嫁ぎ、5人の子を育てた。99歳の2015年に入所。頭脳明晰で、世界情勢に関心があり、世界地図を広げ、先日もスーダンの位置を確認したばかり。この日も、仕事の関係で孫が暮らすインドや、かつて長男の弘志さん(86)が仕事の関係で訪れたドバイ、イランなどの位置を指さし、変わらず元気な姿を家族に見せた。

新型コロナ流行時は、タブレット面会や、正面玄関の自動ドア越しの面会、部屋の窓ガラス越しの面会だった。一茂さんは、「耳が遠いので、これまでの面会方法では職員さんに大きな声で通訳してもらっていた」と、直接会話できたことを喜んでいた。

同施設は、コロナ5類移行後、面会方法をアクリル板越しに緩和する方向で検討しており、大前さんの面会で試行した。

山口和也施設長(54)は、「流行状況をみながらになるが、面会制限は緩和の方向に進むことになるだろう。高齢者施設は、施設内で感染を広げない、が最も大切。十分注意しながらになる」と、難しい判断が続いていくとの見方を示した。

同施設の運営法人内で、家族が感染した場合、本人感染した場合の待機期間の在り方について、独自のルール化などを検討している。

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