初夏を告げる 絶滅危惧種「クリンソウ」見頃 群生地でかれん「自然な美しさ」

2023.05.10
地域観光

群生地で咲き誇るクリンソウ=2023年5月10日午後1時43分、兵庫県丹波市市島町多利で

兵庫県丹波市市島町多利にある妙高山で、県で絶滅危惧種に指定されている植物「クリンソウ」が見頃を迎えている。中腹に流れる沢の両側約300メートル間に、密度の違う群生地が5カ所ほど点在。ピンク色のかれんな花がぽつりぽつりと咲き誇り、初夏の訪れを告げている。今月いっぱいは見られそう。

サクラソウ科の多年草。高さ30―80センチほどの茎から、直径3センチほどの花を輪生して咲かせる。県版レッドデータブックでは絶滅の危機に瀕し、厳重な保全対策が必要とされるBランクに指定されている。

「妙高山のクリンソウを守る会」で事務局を務める尾松勝実さん(80)=丹波市市島町南=によると、今年は開花直前の時期に冷え込んだせいか、例年より開花が1週間ほど遅いという。

尾松さんは「地区で唯一といえるほどの観光資源。原種の自然な状態の美しさを感じてほしい」と話している。

2010年に地元の愛好家女性2人が群生地を発見。それを機に地元有志で「守る会」を立ち上げた。元の自然環境を極力守りつつ、観察や遊歩道の整備などに励み、自生地を保護し続けている。看板やのぼり旗を立ててPRにも注力している。

関連記事