兵庫県丹波市春日町棚原の津田修治さん(75)は11年前から、全国各地で開かれているマスターズ陸上大会への出場を続けている。活力あふれる同世代に刺激を受け、「負けたくない」と参戦。これまでの出場大会は100以上、優勝回数は40回に上るという。手術を受けた今年も計4大会、8レースに出場。年齢を感じさせない軽やかな走りで、全大会で入賞を果たしている。
今年は7月の近畿大会、9月の兵庫大会、同月の滋賀大会の400、800、1500メートルの計6レースでいずれも優勝。コロナ禍以来の出場となった10月の全日本大会では400メートルで6位(出場8人、1分25秒22)、800メートルで3位(同5人、3分14秒86)に入った。
コロナ禍前は3カ月に1回は大会に出ていたが、大会が相次いで中止になり、「『次もないのか』とだらけてしまった」。今年2月に不整脈の一種「心房細動」の手術を受け、3日間入院。「1500メートルは1分半ぐらいタイムが落ちた」と言う。今は体に無理のない程度で、週2回は集落内のコースを5キロ走るようにしている。
49歳の時、勤務していた、主に電球を製造する会社の陸上部に入ったのが陸上との出合い。初めて挑んだ大会は「年上の人にどんどん抜かれた。腹が立った」と振り返る。反骨精神から練習を重ね、フルマラソンも走るように。船城地区で行われている元旦マラソンで、毎年のように大人の中で1位になっていたことから、船城小学校の陸上クラブの指導も任された。
64歳の頃、クラブに所属する子どもの保護者から「良いところまでいける」と勧められ、マスターズ大会に出場するようになった。「行くと毎回、『バンッ』と前に出る人がいた。全国にはすごい人がいる。その相手にも、自分にも負けたくないという気持ちが湧いた」という。
各地の大会に出場するうち、「次も来いや」と声をかけてくれる”戦友”が増えた。今では、出場した大会結果を写真で報告し合う関係になった。「走っているせいか分からんけれど、30年近く風邪をひいたことがない」と笑う。
今の目標は「有力ランナーがいるレースで、何でも良いから日本一になること」という。「走れなくなるときは、競技場まで車か電車で行けなくなるときやろなあ」と笑った。