兵庫県丹波篠山市の篠山伝統的建造物群保存地区(伝建地区)の住民主体のまちづくりを進める「篠山まちなみ保存会」が、同市河原町で「フィールドワーク」を開いた。同保存会役員らの案内で、地元の篠山小学校の教職員9人が同地区の歴史や建物などを学んだ。観光シーズンの秋に「お城ガイド」を務めようと同校6年生が伝建地区について学んでいることから、教職員自身も学びたいと要望。伝建地区選定20周年記念事業の一つで同保存会が引き受けた。
案内は同保存会の川端登会長、丹後正昭副会長、清水恵治副会長と、市社会教育・文化財課の植木友係長が務めた。
市指定文化財の川端家住宅では、同住宅に住む川端会長が案内。明治初期の建築で、今では手に入らないような材料で建てられていることや、当時としては珍しい和洋折衷の構造になっていることなどを説明した。
また、1879年に建てられた鳳凰会館を案内した植木係長は、同会館が南丹銀行、第百三十七銀行、神戸銀行河原町支店など代々、銀行の建物として使用され、向かいの丹波古陶館はそれらの蔵として使われていたことや、2004年の同伝建地区選定から20年間で、約100件の修理、修景などが行われていることなどを紹介した。
川端会長は「先生方にもよく知っていただくのは大変ありがたく、心強い。かけがえのないものばかりで次世代に大切に伝えたい」と期待。木藤美香教諭は「建物の中に入ってみると、奥行きの広さを感じる。外からでは分からないことが学べた」と話していた。