兵庫県丹波篠山市の谷田君代さん(91)の実家(般若寺)に保管されていた鬼瓦が、延享4年(1747)に作られ、篠山城で使われていた可能性があることが分かった。鬼瓦は縦約40センチ、横約45センチ、厚さ約7センチ。鬼瓦には「延享四年 未八月日」「鬼師 喜右衛門」と刻まれている。市内の歴史研究家によると、年号、作者がはっきりと刻まれているのは珍しく、菊紋もあるため、篠山城で使われていた可能性があるという。近く青山歴史村(同市北新町)に届けられる。
谷田さんが父の小島愛一さんから伝え聞いた話によると、鬼瓦はかつて篠山城の建物で使われており、その建物は篠山小学校を経て同市立町に移築され、建築業「丹陽組」の社屋に利用された。さらに、東新町に移築され、愛一さんが経営する自動車整備工場に使われたという。
昭和40年代に工場を解体する際、篠山町役場に勤め、歴史に関心のあった君代さんが「篠山城の関係のものと父から聞いていたので、慌てて」解体業者から鬼瓦を引き取った。その後、般若寺の実家を継いだ弟の修一さんの元で保管された。
昨年7月、修一さんが亡くなり、実家を整理した際、「捨ててしまうのは忍びない」と、知人の歴史研究家に相談。価値のあるものと分かった。
君代さんは「父が残した鬼瓦を多くの人の前に飾っていただけるとのことでうれしい」と、思い出の鬼瓦の保管先が見つかり、喜んでいる。