長い首と尾を持った植物食恐竜「丹波竜」(学名=タンバティタニス・アミキティアエ)化石の発見者で、地学愛好家の足立冽(きよし)さん(81)=兵庫県丹波市柏原町=を迎えた講演会(糯ケ坪自治会主催)が、丹波篠山市糯ケ坪の高城会館で行われた。足立さんは、恐竜や哺乳類をはじめとするさまざまな化石が産出し、なお産出する可能性の高い約1億1000万年前の地層、篠山層群の魅力を紹介し、「ぜひ一般の市民の方に、この世界的にも素晴らしい地層に関心を持ってほしい」と語りかけた。
足立さんが以前所属していた「篠山層群をしらべる会」の会員が同集落にいることが縁で、まずは地元から篠山層群の魅力を広めたいと講演会を企画した。
足立さんは、海底で出来た岩盤が海洋プレートに乗ってやって来たことが丹波篠山で確認できる枕状溶岩や石灰岩、チャートから見て取れること、カエルなどの小さな生き物の化石が腐らずに良い保存状態で残っていることの希少性など、篠山層群の魅力を紹介した。また、発見された角竜類の恐竜化石が、同類が東アジアから北米大陸へ渡ったことを裏付けたり、下顎の骨や歯の化石から哺乳類の進化が読み取れたりと、絶滅した動物を知る上で、化石が重要な役割を果たすことを説明。「基礎的なことを知れば、話を聞くごとに面白いと思えてきて、篠山層群の価値も分かってくる」と促した。
その上で、「篠山層群の化石の多くは素人が見つけている。だからこそ研究が進んでいるとも言える。観光資源として使うにも、まずは市民が興味、関心を持つことだ。篠山で化石が見つかる場所はいっぱいある。そんな素晴らしい地層であることを市民や若い人たちに伝える活動をしていきたい」と話した。