「丹波焼」が日本初受賞 世界的団体の「クリエイティブジャーニー賞」 独自性と観光モデルを評価

2025.02.17
地域歴史注目観光

「ワールドベストクリエイティブジャーニー賞」の受賞を喜ぶ丹波立杭陶磁器協同組合の市野理事長=兵庫県丹波篠山市今田町上立杭で

日本六古窯の一つで、日本遺産にも認定されている兵庫県丹波篠山市今田町の「丹波焼」が、スペイン・バルセロナに本部を置く世界的な非営利組織「クリエイティブ・ツーリズム・ネットワーク」の「クリエイティブツーリズムアワード2025」で、部門最高賞となる「ワールドベストクリエイティブジャーニー賞」を受賞した。日本からの受賞は初。850年の歴史を誇る丹波焼の独自性と、陶工らが力を入れ、地域の生業を持続可能な観光モデルとして発信する観光事業が高い評価を受けた。窯元などで作る丹波立杭陶磁器協同組合は、「丹波焼が世界に認められた。ますます精進しながら、歴史文化を後世につなげていきたい」と喜んでいる。

クリエイティブツーリズムは、地域固有の文化資源を生かし、訪れた人に新しい体験を提供する観光事業を指す。同ネットワークはEU(欧州連合)の支援を受けて2010年に設立された組織。ユネスコや各国の省庁と連携して、世界のクリエイティブツーリズムの推進とサポートを行っている。

アワードは同ツーリズムに取り組む世界中の取り組みを表彰し、長期的な価値を創出する観光モデルとして顕彰する。

今回は全体で16カ国178件、丹波焼が応募したクリエイティブジャーニー部門には、42件の応募があった。

丹波焼は、伝統的な登り窯の見学や作陶デモンストレーション、工房への弟子入り体験、丹波焼を用いた食事などで、丹波焼の伝統に没入できることや、工房に宿泊し、里の日常や伝統を味わえる事業「陶泊」や、若手陶工が「さとびとガイド」となって産地内を案内することなどが高く評価され、満場一致で最高賞に選ばれた。

受賞したことで国際的なプロモーションが行えたり、同ネットワークなどとの連携が得られたりするようになるなど、より世界に情報を発信できる。

同組合の市野達也理事長は、「感動している。将来ビジョンの策定など、これまでやってきたことが間違っていなかったという証しで、とてもうれしい」と喜び、「丹波焼という言葉を世界各国の皆さんに知っていただけることがうれしいし、先人から受け継いできたものを未来につなげていく上で大きな賞。日ごろお世話になっている皆さんに感謝しかない」と話している。

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