兵庫県丹波市春日町下三井庄で盆栽専門店「BONSAI LABO Tamba」を運営する宮里凜太郎さん(48)、こずえさん(38)夫妻と、盆栽愛好家の小山辰彦さん(70)=同県丹波篠山市乾新町=が、盆栽作りを楽しみながら技術向上を図り、展示会への出展を目指すグループ「丹樹会」を結成。愛好家だけでなく、これから盆栽を始めたい人も含めて広く仲間を募っている。3人は、「盆栽は日本の文化であり、木々の成長を見守ることは素晴らしい喜び。完成することがない〝未完の美〟で、生涯にわたって楽しめる」と魅力を語り、「敷居が高いと思われがちだが、最近は若い世代にも広がっている。興味のある方はぜひ一緒に」と入会を呼びかけている。
現在のメンバーは3人のみ。会長は小山さんが務める。月に1度、例会を開いて宮里さんらから技術を学ぶほか、初心者には盆栽の始め方や木の選び方なども伝える。
取り組むのは、基本的に手のひらサイズの「小品盆栽」。宮里さんが事務局を務める公益社団法人・全日本小品盆栽協会が主催する「雅風展」や「春雅展」などへの出展を目指す。また、丹樹会主催の展示会も開いていく予定。
出展を目指すのは、展示会で自分の世界観を表現することが技術向上への近道になるから。宮里さんは、「一人で楽しむことも良いが、人前に出して評価をしてもらうことが一番、成長につながる。長年、盆栽を育てて最後に手放す際、状態が悪く、自分が思っているような値が付かないときに悲しい顔をされる人を何人も見てきた。そんな人をなくしていきたい」と言い、小山さんも、「技術を磨いて良い盆栽を作ることが、気持ちよく次につなぐことになる。そのためには切磋琢磨して研さんしないといけない」と話す。
元商業カメラマンの宮里さんは、日本の伝統文化に関わる職に就きたいと盆栽業者で修業し、2012年に大阪市で開業。広い敷地や子育ての場所を求めて移住を決意し、22年に丹波市に引っ越した。こずえさんも移住を機に盆栽の道に入った。
小山さんは40歳のころ、「日本盆栽大観展」を訪れた際に、その魅力に衝撃を受けて取り組み始め、愛好家歴30年になる。国内でも珍しい桜の盆栽のみの展示会「盆桜展」などを開いている丹波篠山盆栽会の会長も務める。
宮里さん夫妻が丹波に移り住み、共通の知人がいたことから交流が始まった。語り合う中で、丹波地域に盆栽という文化をさらに広げることや、愛好家の交流の場、技術向上を目的に会を結成することになった。早速、丹樹会として1月の雅風展に出展した。
のめり込む盆栽の魅力を、宮里さんは、「盆栽は飾るためのもので、『おもてなし』や『敬意』が求められる。人のことをおもんぱかれる気持ちでいられる」とにっこり。「一緒に飾る掛け軸や器、木彫など、盆栽だけじゃなくていろんな伝統文化を知ることができる〝総合芸術〟。何より日々変化する盆栽は100点満点の人がいない世界。奥深い」と語る。
小山さんは、「相手は生き物。毎日その成長と鼓動を感じられ、子どもを育てているかのような幸せを得られるし、うまくいったときの達成感は何にも代えがたい」と言い、こずえさんは、「木からは自然への敬意を、器や道具などからは作っている人への感謝を感じることができるようになり、盆栽ができる平和にも感謝している。そんな思いをみんなで共有できたらうれしい。気軽に参加してもらえたら」とほほ笑んでいる。