その謎の存在に出くわしたのは、兵庫県丹波篠山市矢代にある「ユニトピアささやま」。地面から何本もの棒状の物体がそびえている。なんじゃこりゃ?
問題の物体があるのは、子どもたちが大喜びのつり橋の近く。数㌢ほどから、数十㌢になるものまで、ニョキニョキと生える姿は鍾乳石のような、つくしのような、「ムーミン」に出てくるニョロニョロのような。とにかく突如として異様な空間が広がる。
おそるおそる触ってみて、はたと気づいた。この手触りは、「木」だ。施設に尋ねたところ、「あぁ、あれですね」と言い、「時々、お客さまから聞かれることがあるのですが、『呼吸根』だそうです」と教えてくれた。
物体の後ろにそびえる「ラクウショウ(落羽松)」という木の根の一部。ヒノキ科の落葉針葉樹で北米―メキシコに分布する。自生しているではなく、施設整備の中で植えられたとみられる。
呼吸根は名の通り、木が呼吸するための根。水生植物などに見られるもので、マングローブが水の中から突き出す呼吸根が有名だ。水中以外に地面から生えるものもある。そう思って見ると、地面の中に忍者が潜んでいて、管を出して息をしている場面が思い浮かぶ。
呼吸根は木が息をしている証しで、ラクウショウの意思を感じることができる物体。こちらも思いっきり深呼吸した。