兵庫県丹波篠山市川原自治会は13日、子どもたちが集落の家々を回り、祝儀をもらう民俗伝統行事「狐がえり」を数十年ぶりに行った。同自治会は2022年に、同様に子どもが各家を回る行事で、わらで作った槌で地面をたたき、無病息災や家内安全を願う「亥の子」も復活。コロナ禍で希薄になった子どもと住民の関係を見直そうとしている。
「狐がえり」は全国各地で行われており、地域によって「狐狩り」「狐どんど」「福の神」などと呼ばれる。キツネに象徴される害獣を地域から追い出し、福を招くとされる。
地域の子どもやその友だち、親戚の子など8人が参加。本来は夜明け前に行っていた行事だが、午前9時から川原倶楽部を出発。25軒ほどを回った。家々では、太鼓と鉦を鳴らしながら「狐がえりをせんかいやい」から始まる歌を歌い、家人から祝儀をもらった。途中、「山の神さん」「お山王さん」「弁天さん」「子授け地蔵」の4つのほこらにも寄り、小さい幣を供えた。
昨年11月の亥の子には12人の子どもが参加した。亥の子の終了後、狐がえり復活の機運が高まった。事前に、子どもたちが持ち歩く幣を作るなど準備した。
森田恭弘自治会長(65)は「8人も子どもがよく集まってくれた。村の人たちも子どもたちから元気をもらったよう。良い行事をできるだけ引き継いでいきたい」と話していた。