開業者支援へ組合設立 雇用創出で県が認定 特定地域づくり事業協同組合

2025.02.23
丹波篠山市地域

斎藤知事(右)から、「特定地域づくり事業協同組合」の認定証を受け取る安達代表理事=兵庫県丹波篠山市福住で

兵庫県丹波篠山市の東部6地区(福住、日置、後川、雲部、村雲、大芋)で開業した事業者らがこのほど、「創造的職人宿場町福住事業協同組合」を設立した。組合が専門スキルのある人材を雇い、組合員が営むカフェや工房などに派遣。経理や労務、情報発信といったビジネス業務の裏舞台を支援する。県は、人口が急減する地域で複数の仕事を組み合わせて安定した雇用を創出する、国の「特定地域づくり事業協同組合」に福住の組合を認定し、同地区で認定証交付式を行った。

「特定地域づくり事業協同組合」は、2020年に創設された総務省の制度。繁忙期などが異なる複数の仕事を組み合わせ、年間を通じた安定雇用の創出や、担い手確保などに取り組む組合を都道府県が認定し、国と市が人件費や運営費などの財政支援を行う。

県内での認定は香美町、淡路市に続いて3例目。

認定を受けた福住の組合は、昨年12月17日に設立。1月30日時点で、染色整理業、和装製品、菓子・パン小売業、不動産業、広告業、写真業、旅館などの市東部6地区の14事業者が組合員になっている。福住地区などで古民家を活用した宿泊施設を経営するなどしている株式会社「Local PR Plan」の安達鷹矢さん(37)が代表理事を務める。職員は箕浦祐太さん(34)、丸谷巨仁さん(45)の2人。事務所は旧福住小学校を活用した「SHUKUBA」に設置した。

福住地区は、宿場町の面影を色濃く残し、2012年に国重要伝統的建造物群保存地区に選定。その町並みに魅了され、22年までの10年間で移住者は100人を超え、35事業者が空き家を改修するなどしてカフェや工房などを開業している。市の定住促進重点地域にも指定され、クリエイティブな事業者の移住が進んでいるという。

移住者による地域の新たな魅力を生み出すまちづくりが進む一方で、移住者の中には、会計・労務をはじめ、交流サイト(SNS)・ホームページを活用した情報発信などの業務を苦手とする人が多く、事業拡大や移住の最終決断を阻害する一因になっていたという。

安達代表理事とガラス工房を視察する斎藤知事

安達代表理事は、「組合がバックアップすることで、新しい事業者が入って来る際に、『そこまでサポートしてくれる体制があるのだったら福住で開業したい』という人が出てくる。そのためにもしっかりと取り組んでいきたい」と抱負を語った。

交付式に出席した斎藤元彦知事は「福住地区で進めてきた移住をさらに促進するとともに、他地域への横展開も期待したい。この制度が地域活性化の新たな起爆剤になれば」と話していた。

交付式の後、斎藤知事は、安達代表理事や酒井隆明市長らと同地区で現地視察を実施。SORTE GLASS(ガラス工芸)、FOTOZUMI(写真ギャラリー)、MAGNUM COFFEE(コーヒー焙煎)を巡り、事業者と意見を交わした。

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