兵庫県丹波地域生まれのバーチャルユーチューバー(Vチューバー)「あいさきちぃ。」が9日午後7時、ユーチューブライブを初配信し、デビューする。地域の魅力を全国、世界に発信し、地域活性化に貢献しつつ、自らはトップアイドルになることを目指す。作成した映像制作会社によると、「丹波市、丹波篠山市初のVチューバー」という。
設定は「1億1000万年前の地層から蘇ったヒト型恐竜の女の子」。「恐竜の力をもつアイドル」で、頭に角が2本、光る大きな尻尾、小さな翼も生えている。アニメ映画、電車、野球、レトロなもの、食べることが好き。口癖は、地層をイメージしたデビュー曲のタイトルでもある「骨のあるやついねーのか!」。
映像制作会社「IZANY」(丹波市氷上町)が開発、同社が著作権を持つ。同社と契約しているタレントが、アニメキャラクターのようなビジュアルを操作する。同社と「ちぃ。」は、芸能事務所と所属タレントのような関係。同社が「ちぃ。」の活躍の場を探す。
定期的なライブ配信のほか、イベントの司会、リポーター、企業や商品紹介、観光名所の案内などを想定。インターネット環境さえあれば、どこでもリアルタイムでやり取りができ、登校しづらい児童生徒や高齢者の話し相手にもなれる。
デビューに合わせ、オリジナルソングを制作、アイドル活動にも力を入れる。ファンが「推し活」ができるよう、アクリルスタンドなどのグッズも制作した。現在は、笑顔、ふくれっ面など表情の変化が中心の2D(平面)だが、動作など立体的な表現ができる3D化を目指す。
昨年9月ごろからキャラクターづくりを始め、男女小学生やスタッフの家族の声を参考にした。Vチューバーは乱立しており、他のVチューバーとコラボしたときにセンターに立てるビジュアルを意識したという。
「愛」の「あい」、「先んじる」の「さき」、「小さな勇気」の「ちい」を合わせて命名した。
生みの親の垣崎辰徳社長(42)は、「キャラクターは、ぶっ飛べばぶっ飛ぶほど面白い。生身の人間ができない表現ができ、可能性はすごくある」と目を輝かす。政治、宗教、成人向けコンテンツはできないとし、「ちぃ。の人格を尊重しながら活動の輪を広げたい」と話す。
丹波市商工会館で20日、垣崎社長とデビュー会見を開いた「ちぃ。」は、丹波地域の印象を「ちょうど良い田舎。自然の良さ、安心感がある」とした。「世界の人に知ってもらいたい。ユーチューブの登録者数10万人、東京ドームで単独公演したい」と大きな野望を語った。
【VTuber(ブイチューバー)】 バーチャルYouTuber(ユーチューバー)の略。生身の人間の代わりにアニメのようなキャラクターを使い配信をする人。「YouTube」に動画投稿、生放送をする配信者は、ユーチューバー。キャラクターは2D、または3Dコンピュータグラフィックスで作られており、配信者の動作と連動し、画面上のキャラクターが動く。