方言で丹波の民話語る 訪問活動スタート 「ほ~げんたんば」

2025.03.19
丹波篠山市地域歴史

デイサービス利用者に方言で民話を語る「ほ~げんたんば」のメンバー=兵庫県丹波篠山市宇土で

兵庫県丹波地域の方言を使って同地域の民話を語る朗読グループ「ほ~げんたんば」(野村文男代表、7人)が、老人福祉施設などへの訪問活動をスタートさせた。高齢者講座「丹波OB大学大学院」時代に方言を研究した受講生でつくるグループ。2021年の結成で、当初から訪問活動を計画していたが、コロナ禍で実現できなかった。メンバーらは「故郷のぬくもりが感じられる方言。活動の場を広げていきたい」と話している。

通所介護施設、篠山ケアセンターでこのほど行った訪問活動で披露した演題は、篠山の力士が江戸で連戦連勝する民話「まけきらいのお稲荷さん」。6人のメンバーが殿、家来、親方、観客、語りの役を務め、臨場感たっぷりに方言を入れながら朗読した。また、方言クイズが出され、「『だんない』『ぴりぴり降っとる』ってどういう意味か知っていますか」。同グループが問うと、デイサービス利用者らは「知っとる。知っとる」とうなずいた。

利用者の井関裕代さんは「子どもの頃から聞いていた民話。思い出しながら聞いていた」とにっこり。同施設スタッフの中島明美さんは「この民話は知らなかったけれど、方言が入っていたので、話が頭に入ってきやすかった」と話していた。

メンバーが同大学院(2年制)の1年生だった21年、同グループの前身となる「丹波の方言研究班」が、老人福祉施設の職員を対象にアンケート調査を行ったところ、「利用者の方言を理解できずに困った」との回答が60%あったことをきっかけに方言集の作成を企画。移住者が方言を理解し、スムーズにコミュニケーションが取れるように、との思いも込めた。方言集は22年1月に完成。各施設に配布した。

方言集の完成時には、同大学院を運営する丹波の森公苑名誉公苑長だった故・河合雅雄さんが「昔話は元来、口誦(こうしょう)。丹波弁に代える工夫で本来の昔話の味が出るのでは」と、「丹波のむかしばなし」に書いたあいさつ文を読んで、大学院修了後も昔話を方言で伝える活動をしようと「ほ~げんたんば」に改称し、老人福祉施設に訪問活動しようとしたが、コロナ禍でかなわなかった。

その間、オリジナルのストーリーの作成や朗読劇の練習に励んだ。老人福祉施設の受け入れが再開されてきたことから、昨年12月に住吉台にある福祉施設のクリスマス会から訪問活動をスタート。篠山ケアセンターの訪問は2回目の活動。

メンバーは、野村代表、雪岡廣子さん、小嗣佳世子さん、佐圓恵子さん、余田正博さん、細見重子さん、下田八千代さん。

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