ドローンで「ワンワン」 犬に代わって追い山猟で威嚇 シカ1頭仕留める

2025.05.03
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ドローンを操縦する下元さん(左)=兵庫県丹波市氷上町伊佐口で

空から「ワンワンワン」―。兵庫県丹波市鳥獣被害対策実施隊の一つ、「丹波鳥獣対策会」(足立岳比古代表)が19日、猟犬を放す代わりにドローンで獲物を威嚇する追い山猟を氷上町伊佐口で行った。仕留めたのは雄シカ1頭にとどまったが、ハンターは威嚇に驚いて逃げるシカ、イノシシを多数目撃。会員たちは「使えるんじゃないか」と手応えを感じていた。

ドローン猟でシカを仕留めた丹波鳥獣対策会

同自治会の山は猟犬を放せない制約があり、京都府福知山市でドローンを使って有害鳥獣捕獲活動や狩猟をしている下元照男・京都府猟友会福知山支部長(77)を招いた。下元支部長がアンプや高出力指向性スピーカー、動物追い払い用煙火(花火)を搭載したアエロジャパン社(福知山市)の機体を操縦。機体を山に接近させては「ワンワン」と猟犬の鳴き声を大音響で流し、「パン」と破裂音がする花火を発射し、威嚇した。谷に音声が響いた。

バッテリー交換などの時間を合わせ90分ほどの間に4方向から離発着。南から北、東から西方向などに飛び、会員が待ち伏せしている場所に追い込んだ。会員によると、シカ6頭、イノシシ1頭が逃げるのを見た。「ドローンが頭上に来ると、『いい爆音』だった」「予想と違う方向から獲物が現れた」などと、初めてのドローン猟を振り返った。

機体を所有する下元支部長は「犬のように獲物を見つけて追うのではなく、ドローンは面で獲物を追う。猟犬を使った猟のようなわくわく感はないが、暑くてもバテないし、餌やりや予防接種といった飼育にかかる労力がないのが利点」と説いた。

足立代表(70)は「地形をよく知っている人が使うと有利。160万円ぐらいするので、助成制度を調べ、懐事情と相談したい」と話した。

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