兵庫県丹波市山南町池谷のJR谷川駅前で定期開催している「サン・マルシェ」で実行委員長を務める畑美和子さん(50)=同市山南町=が、同駅前のタクシー会社旧事務所の建物で、シェアキッチン&カフェ「サンキッチン」を開こうと準備を進めている。「地元の人に親しまれた建物に再び明かりをともし、みんなが集える場所にしたい」。7月4日まで、インターネットを通じて資金を募るクラウドファンディング(クラファン)のサイト「キャンプファイヤー」で改修費用の一部に充てる寄付を受け付けている。
畑さんは「谷川駅前を活性化したい」と、2019年から仲間と共に「サン・マルシェ」をスタート。飲食ブースと音楽ステージを中心に展開し、多くの人に愛されるイベントに育った。今月18日に開いた第5回マルシェは、約1200人の来場者でにぎわった。
一方、子どもの頃から菓子作りが好きで、子育て中は手作りケーキなどを作っていた畑さん。「いつかはカフェを」との夢も温めていた。
タクシー会社旧事務所の建物が売りに出ていることを知ったのは、1年前のマルシェ準備中。1959年(昭和34)に旧山南町が建てた木造2階建てで、神姫バスや国鉄バスなどの待合所や特産展示所だった。直近は柏原神姫タクシー(本社・柏原町柏原)が所有し、グループ会社「播丹交通」の事務所として使用。事務所移転に伴い、2年前から空き物件だった。畑さんは、「レトロな雰囲気が良い」と感じたと同時に「昔、来たことがある」と記憶がよみがえった。マルシェ実行委員たちからも「懐かしい」という声が出て、「この場所を使いたい」という思いが湧き上がり、購入を決めた。
「サンキッチン」は、飲食店営業と菓子製造の許可を取得予定。誰でも施設を使うことができ、カフェにチャレンジしたり、作った菓子をイベントなどで販売したりすることも可能になる。畑さんは運営者となるが、自らカフェを営業する日もつくる予定。
計画にあたっては、畑さんも利用したことがあり、レンタルキッチンの設備がある「みんなのコミュニティくぅ&こた」(同市春日町野村)を参考にした。
レトロな外観はそのままに、キッチンとトイレを整備するなどの改修を行う。9月に着工し、12月のオープンを目指す。
畑さんは「『サン・マルシェ』はたくさんの人に応援してもらった。『サンキッチン』も、誰かの応援をしたり、背中を押したりできる場所になれば」と熱く語る。
クラファンは、目標金額50万円。リターンは、シェアキッチンの一日利用券や、畑さんが作る菓子詰め合わせ、畑さんと一緒にクリスマスケーキを作るプランなどがある。