古民家改装し助産院に 「実家のような場所に」 産前産後ケアに特化

2025.05.10
丹波篠山市地域地域歴史注目

11日に施設見学を受け入れる江戸末期建築の古民家(手前)と離れを利用した産前産後ケアの家「JIKKA(ジッカ)」=兵庫県丹波篠山市市野々で

兵庫県丹波篠山市の助産師、加藤梨絵さん(34)が、自宅横にある江戸時代末期建築の古民家などを改修し、分娩は扱わず、産前産後のケアや相談に特化した助産院を開く。五右衛門風呂やかまど、囲炉裏があり、「どこか懐かしさを感じる実家のようにほっとできる場所にしたい」と話している。11日午前10時から施設見学を受け入れる。母子の受け入れは6月2日から。

産前産後ケアの家「JIKKA(ジッカ)」。古民家の母屋はかやぶきトタン屋根の平屋で約100平方メートル。床下から見つかった囲炉裏跡を修復。かまどや土間、竹小舞の土壁は古民家再生のワークショップで完成させた。五右衛門風呂も新設。夫の俊希さん(31)が2年前に「お試し住宅」用に改修した、近くの「旧西村家」の五右衛門風呂に「芯から温まり、はまった」(梨絵さん)という。

完成後の利用イメージ図(提供)

古民家の落ち着いた雰囲気を生かし、産前産後のケアや相談などを行う。隣の2階建ての離れも改装。1階(約72平方メートル)のリビングダイニングキッチンでは、栄養士を招いた離乳食やおやつ作りの講座を開いたり、畳敷きの部屋で赤ちゃんを預かったり、風呂で沐浴を練習したりする。

加藤さんは2023年まで9年間、大阪市内の総合病院で助産師として勤務。育休明けに京都市の地域包括支援センターで保健師として働いた。21年夏に大阪市から丹波篠山市市野々に移住。翌年、長男の蔵之助ちゃん(3)が生まれ、同集落で約25年ぶりの赤ちゃん誕生と話題になった。

母屋に新設した五右衛門風呂

移住後に築約130年の自宅よりもさらに古い空き家だった母屋を購入。片付けながら活用方法を探っていた。「地域の方たちが私たちを優しく受け入れていただき、蔵之助を温かく見守っていただいているおかげで健やかに成長している。地域で子育てが実感できる場所で産前産後の家族が気軽に立ち寄れる場所をつくりたい」と思い立った。

11日はオープニングイベントを行い、正午まで入退場自由で施設見学を受け入れる。誰でも参加できる。駐車場は市野々自治会館の駐車場(市野々456)を利用。今月は鍼灸体験や、市野々で採取したクロモジの精油作り体験などを計画している。

母子の受け付けは5月半ばからインスタグラムなどで。

産後1年まで利用できる丹波篠山市の「産後ママのサポート事業」を同助産院で利用できる。

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