兵庫県丹波市の「道の駅丹波おばあちゃんの里」(野原正章・執行役員支配人兼駅長)の昨年度の売り上げが約6億8111万円となり、3期連続で前年度を上回り、過去最高を更新した。物産館拡張などリニューアルする前の2021年度と比較すると、売り上げはほぼ倍増(198%増)。今年5月のゴールデンウイーク(3―5日)の売り上げは前年同期比で112%増を記録し、大台の7億円突破に向け好スタートを切った。11月1日、丹波市で初めて開かれる予定の「全国『道の駅』シンポジウム・道の駅まつり」に向け、弾みをつけている。
23年度と比較すると、客数は約40万人とほぼ横ばいだったが、売り上げは107%増。「ちいき百貨店」と銘打ち、取り扱う商品を拡充して客が選択できる幅を増やしたことが結果につながったという。オリジナル商品の開発や、新たな取引先の開拓にも励んだほか、広報力の強化にも注力。ホームページへのアクセス数は初めて100万回を突破した。
数字上、特に大きな違いが現れたのは、トレンドのキャッシュレス決済への対応。クレジットカードや電子マネー、QR決済ができる機器を充実、23年度は現金での支払いが75%、キャッシュレス決済が25%だったのに対し、昨年度は現金60・5%、キャッシュレス決済39・5%となり、キャッシュレス決済が大きく伸びた。支払い方法の多様性から、“買いやすさ”を追求した結果という。
野原支配人が「転機」と位置付けるのが22年3月のリニューアルオープン。リニューアル前の21年度と昨年度の数値を比べると、客数は160%増、買い物の1回当たりの購入金額を示す客単価は124%増、品数は162%増と、軒並み数値は大きく上昇。なお、21年度の現金での支払いは83%、キャッシュレス決済が17%だった。
顧客満足度の向上と共に励んでいるのが、従業員の満足度を上げること。待遇や労働時間の改善を図り、人づくりや組織づくりに注力。「顧客と従業員の満足度は比例する。従業員のワークライフバランスを充実させることに努めた」と語る。
昨年度の売り上げから103%増で7億円に到達する。今年度は9月中旬にフードコートを一部改装。メニューも一新し、地域の食材を多く取り入れる。野原支配人は「さまざまなことに取り組んできたが、内容と質が重要。中身が詰まった売り上げ7億円を求めたい」と話している。