大正琴で元気を 90歳メンバーも所属のグループ 高齢者施設で音色届ける

2025.05.09
ニュース丹波市地域注目

 

小規模多機能型居宅介護施設、さきやま苑で演奏を届ける「マーガレット」の名越さん、藤田さん、舟川さん、三ツ池さん(右から)=兵庫県丹波市市島町上竹田で

大正琴の演奏歴が30年以上あり、メンバー4人中3人が85歳以上の兵庫県丹波市のグループ「マーガレット」が、地域の高齢者施設で美しい音色を届けている。これまで別のグループに所属して演奏を楽しんできたが、昨年、高齢を理由に各グループを卒業。それでも演奏を愛する気持ちは燃え尽きることなく、生涯学習として続けようと昨年12月、講師を迎えて新しいグループを設立。同じ時代を駆け抜けてきた同年代の高齢者に、息の合った演奏と元気を届けている。

いずれも同市春日町の舟川育子さん(90)、藤田利乃枝さん(90)、三ツ池みどりさん(85)。講師を務める名越幸代さん(69)=同市柏原町=もメンバーに名を連ねる。

グループは大正琴演奏団体、琴衛会兵庫支部に所属している。名越さんによると、同支部内では、90歳代以上のメンバーが所属するグループは他にないという。

舟川さんは「ポピーズ」、藤田さんと三ツ池さんは「スイートピー」と、別々のグループで演奏を楽しんできたが、昨年、発表会などステージに立つ機会には区切りを付けようと、グループを卒業。ただ、年齢を理由に演奏自体をやめるのではなく、仲の良い3人で新たにグループを結成し、旧知の名越さんを講師に迎えた。

いずれも夫に先立たれた3人だが、大正琴の演奏が支えになっているという。舟川さんは、夫から生前、「大正琴をやめるな。支えがないと生きていけないよ」と声をかけてもらったことを心に刻んでいる。「演奏の上手、下手ではなく、続けられる限りは、自分に見合った方法で演奏し続けたいと思った」と話す。

名越さんに教えを受けながら、仲間内で楽しめたらと考えていたが、「教室だけじゃ楽しくないかも」と、ステージへの思いが再燃。高齢者施設でのボランティア演奏を続けつつ、4人は「いつか発表会の舞台が訪れるかもねえ」と顔を見合わせ笑う。

練習は月2回、舟川さん宅で楽しんでいる。個人練習にも余念がなく、人生の大先輩を指導する名越さんは、「キャリアがあり、ものすごく練習される。4人での演奏は本当に楽しいけれど、私もオチオチしていられない」とほほ笑む。

舟川さんは「(講師グループの)『琴音』の皆さんに助けてもらいながら、メンバーで仲良く心を合わせ、長く続けられたら」、藤田さんは「この年齢になったけれど、演奏で指や頭を動かせば、長く元気でおられそう」、三ツ池さんは「演奏は生きがい。ずっと楽しめたら」と柔和な笑顔を見せた。

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