惜しむ声止まず再開 高齢者のたまり場カフェ 80歳の店主が根負け

2025.05.16
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惜しむ声がやまず、営業を再開した「森カフェ」の足立勝子さん(右)と八尾幸子さん。手がかかる総菜販売も続ける=兵庫県丹波市青垣町小倉で

高齢者のたまり場「森カフェ」(兵庫県丹波市青垣町小倉)が閉店から4カ月、営業を再開した。やまない閉店を惜しむ声に、店を切り盛りする足立勝子さん(80)が根負けした。食事と飲み物を提供し、総菜を販売する。営業日を1日減らし、木―土曜の週3日とした以外は閉店前と同じ形で営業している。

若い世代は食事、70―80歳代は茶飲み話と総菜目当てで集まる。日替わりで女性常連客が調理を補助。勝子さんの姉の八尾幸子さん(94)も変わらず接客をしている。

繁盛はすれど、忙しさで疲れ、「ゆっくりしたい」と、昨年12月に閉店した。ところが、行き場を失う常連客が「完全閉店」を阻止しようと来店を続け、コーヒーのみ提供してもらっていた。閉店したことで定休日がなくなり、「かえってゆっくりできなくなった」(勝子さん)。

これら「自由過ぎる常連客」だけでなく、営業していた頃の客とまちで顔を合わすたびに「なんで閉めたん」「残念や」と惜しまれ、同じ説明を繰り返すのがストレスになり、「再開した方が気分が楽」と判断した。

76歳の男性常連客は「丸テーブルがええんや。四角だと相席しづらいが、丸は人の輪ができ、おしゃべりができる。手作りのおかずが買えるのも本当に助かる」と喜ぶ。

調理を手伝う常連の70代女性客は「営業すると、常連以外のいろんなお客さんが来られ、活気づく。本人も張りがあるのでは。しんどいから閉めると言われないよう、力になりたい。みな同じ思い」と継続に協力を惜しまない考え。

「集う場が欲しい気持ちは分かるし、おかずが欲しい切実な声も聞く。いつまで続けられるか分からないけれど、できる範囲でやります。また『明日で閉める』と言うかもしれんけど」と冗談とも本気ともつかぬ笑顔を浮かべた。

午前10時―午後4時。早じまいあり。

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