兵庫県丹波篠山市内の森を歩いていると、何やら木にぽっこりとしたシルエット。「木のこぶか?」と思いながら望遠レンズをのぞきこむと、それはコケでつくられた巣で、中に陣取っていたのは、夏鳥の「コサメビタキ」だ。
全長13センチとスズメより小さな小鳥で、大きな瞳が特徴的。全体的に灰褐色で、胸や腹部は白色。アジア北部などに分布し、日本には夏鳥として飛来し、繁殖する。
コケを使って木のこぶに似せた巣をつくるが、目を凝らさないとわからないほど精巧。すごい能力だ。巣の中でひっそりと動かないことから、卵を温めている最中のよう。
時折、顔を上げた先には新緑の青モミジが萌える。新しい命に囲まれ、新しい命を生み出そうとするコサメビタキ。自然の大きな流れを感じさせる。
今が一番デリケートな時期。ずっと眺めていたい欲にかられながらも、数枚シャッターを切って退散した。「子育て頑張って」とエールだけ送って。
コサメビタキの抱卵はメスの仕事。11日は「母の日」―。がんばれ、お母さん!
【丹波新聞鳥部】(※コメント欄より、弊社の活動を命名していただきました)
※愛鳥週間に合わせて、丹波新聞鳥部では10~16日までの間、毎日1本ずつ野鳥記事をアップする「ササヤマ初夏の鳥まつり」を開催します。どうぞご覧くださいませ。