村から赤ちゃんに「お祝い金」 一人につき2万円贈る 「喜びを形に乗せて」

2025.05.29
地域注目

自治会から赤ちゃん誕生のお祝い金を受け取る田中さん一家=兵庫県丹波篠山市犬飼で

兵庫県丹波篠山市古市地区の犬飼自治会が今年から、自治会内で赤ちゃんが生まれた際に1人につき2万円の「お祝い金」を送る制度を創設した。このほど、第1号となった赤ちゃんに進呈。地域も誕生を喜んでいるという気持ちを、祝い金という〝形〟にも乗せて伝えた。創設のきっかけになったのは、コロナ禍でさまざまなイベントが途切れ、村のつながりが希薄になりつつあったこと。自治会役員は、「コロナ禍からどのように地域を再構築していくかを考える中で、子どもたちがいてくれる喜びを改めて感じた。そんな思いを少しでも届けられたら」と話している。

第1号は、3年前に近くから移り住んだ田中恒輔さん(35)、愛さん(32)のもとに誕生した芽郁ちゃん。福祉委員、民生・児童協力員と前川修哉自治会長(70)が自宅を訪問し、手渡した。

田中さんは、「地域として祝ってもらっていることがとてもうれしい。初めての子育て。どれほどお金がかかるかも分からないので、とても助かる」と喜んだ。

前川自治会長によると、自治会の行事に子どもたちが参加することが少なくなっていた中、コロナ禍でさらにつながりが希薄化。住民同士のつながりをもう一度取り戻そうと、昨年から「新年会」を開催しており、今年は子ども会も参加。1―88歳がゲームや食事で大いに盛り上がり、「子どもたちがいてくれると良い」という声が多数上がった。

47軒、120人が暮らす集落。うち乳幼児から小学生までは13人。古市地区全体でも少子化が進む中で、田中さん宅も含めて自治会内の2家庭に赤ちゃんが誕生するということを知り、「こんなにおめでたいことはない。村としてお祝いしよう」と考えた。

前川自治会長は、「つながりや人間関係を『めんどくさい』とも捉えられる時代だけれど、村の気持ちを形にすることで、『良いこともあるね』と思ってもらえたら」と期待する。

また、住民の多くがLINE(無料通信アプリ)のグループに入っており、祝い金のお礼や赤ちゃんの写真を共有するなどしてコミュニケーションを深めていると言い、「デジタルも活用しながら、今の時代に合う村づくりをしていきたい」と話している。

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