兵庫県丹波篠山市藤坂の春日神社で11日、米の豊作を祈願する伝統行事「御田植祭」が営まれた。禰宜と呼ばれる氏子の当番3人が、面を着けて牛や百姓に扮し、神職役の口上に合わせて、田起こし、代かき、田植えまでの一連の所作を披露した。集まった氏子ら約30人と共に集落の繁栄や住民の無病息災を願った。
本殿で祝詞奏上や玉串奉てんなどの儀式が行われた後、本殿下の舞堂に移動し、祭事を執り行った。
禰宜4人が約4メートル四方の舞堂に上がり、当番禰宜の塚本薫さんが神職役を務め「奥の田んぼ 口の田んぼ 尺の穂垂れに 寸の米 ところ繁盛 殿よかれ」の祭詞を繰り返し唱えた。祭詞に調子を合わせるようにして、田んぼに見立てた舞堂内を、禰宜の山下政之さん、中馬義治さん、岡﨑美久さんが面を着けて舞った。木彫りの牛の面を着けた禰宜が前かがみになってゆっくりと歩き、その後ろを男女の百姓の面を着けて木製の鋤や鍬を手にした禰宜が続き、しばらく周回した。
田ごしらえの所作を終えると、面を外した3人が舞堂の床に、稲の苗に見立てた新緑のカツラの枝を束にした24株を本殿に向かって整然と並べて奉納した。
自治会長で禰宜も務めた中馬さんは「天気に恵まれ、たくさんの方にお参りもいただき、ありがたい」と感謝していた。
同神事は毎年5月10日前後の日曜日に行っている。