綿の収穫から染めまで ジーンズメーカーが体験施設 「モノづくりの良さ知って」

2025.05.03
地域注目観光

オープンした「SASAYAMA COTTON BASE」=兵庫県丹波篠山市野間で

オリジナルの「サムライジーンズ」などを製造・販売している「サムライ」(大阪市、野上徹社長)が、兵庫県丹波篠山市野間地区に、綿の収穫から布作り、染色までを体験できる施設「SASAYAMA COTTON BASE(ササヤマコットンベース)」をオープンした。国産にこだわり、市内で自社栽培した綿などで高品質の衣料を生み出している同社の理念を感じられる施設。同社は、「“モノづくり”の良さと大変さを体験していただき、普段、何げなく着ている服などに思いをはせてもらえるスポットになれば」と話している。

まるでジーンズのような藍色で、コンテナ風の建物が特徴的。同社が100%出資し、同地区などで綿を栽培する農業法人「サムライコットンファーム」が運営する。

丹波篠山産の綿を使用したジーンズなども

各種体験は完全予約制の「ツアー」として実施する。同法人が綿を栽培しているほ場で、時季に応じた収穫や農作業などを体験。その後、機械を使って綿を種と繊維に分ける「綿繰り」を行う。繊維を糸に紡ぐ、より糸作業機などを見学し、フレーム型織り機で布にする作業を体験する。

用意された布を使い、黒豆を染料にした染め体験も楽しめるほか、綿を詰めたミニクッションや染色した布を持ち帰ることができる。

サムライジーンズをはじめとする同社製のシャツやデニム小物、バッグなどを販売するショップも併設。市内で収穫した綿を用いたジーンズもあり、衣料品の地産地消を体感できる。縫製スペースもあり、ジーンズの裾直しができるほか、将来は一部製品を製造する考えという。

また、1日1組(4人まで)限定の宿泊棟もある。自炊型でキッチンや冷蔵庫、風呂も完備している。

綿くりを体験できる機械

全国や海外にもファンを持つ同社には「綿の生産から製品化までを自社で手がける」という長年の夢があり、綿の99%以上を輸入に頼っている状況の中で、かつては各地で和綿を栽培し、服を作っていた歴史を後世に残そうと、丹波篠山産の綿栽培に取り組んでいる。そんな思いをより多くの人に感じてもらい、モノづくりの楽しさを知ってもらおうと、同施設を整備することにした。

同法人取締役でコットンベース担当の伊藤眞士さんは、「綿の勉強や体験を楽しんでもらえたらうれしい。綿が丹波篠山の新たな特産になれば」と期待している。

体験は小学生以上が対象で、午前9時―正午と午後1―4時の1日2回実施。費用は1人1万3200円。事前に予約が必要。宿泊は1棟貸しで2万2000円。

1日1組限定の宿泊棟

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