見かけたら通報を 特定外来生物のカミキリ迫る 農業や景観に深刻な被害

2025.05.08
地域注目自然

クビアカツヤカミキリの成虫(いずれの写真も兵庫県提供)

兵庫県や同県丹波篠山市は、サクラやモモなどの木を枯らし、農業や景観に深刻な被害を出す恐れがある特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」の生息域拡大を警戒している。繁殖力が旺盛で、幼虫は木の中で材を食べながら生育するため、木を弱らせ、枯らせてしまう。兵庫・丹波地域ではまだ生息情報はないが、近隣の京都府福知山市三和町や兵庫県三田市四ツ辻で成虫や被害木が確認されている。成虫は5月末―8月上旬に出現し、交尾・産卵する。幼虫は4―10月に木の内部で成長し、木くずと混ざったふん「フラス」を幹や枝に開けた穴から大量に排出する。県や市は、「対策には早期発見、早期防除が重要」と話し、「成虫や死体、フラスを見つけたら通報してほしい」と呼びかけている。

幼虫はサクラ、ウメ、モモ、スモモなど主にバラ科の樹木に寄生。フラスの形は、そうめんやうどんのように細長い。崩してみると、細長く削られた繊維状の木くずではなく、ポテトチップスやコーンフレークのような丸くて薄い形をしているのが特徴。株元だけでなく、地上から約3㍍の位置や、直径5㌢程度の枝からも排出が見られるという。

被害木は、連鎖被害防止の観点から伐採が必要となり、桜並木を全て切り倒した事例も国内で報告されている。これら景観被害のほか、ウメやモモの果樹園で甚大な農業被害が発生する恐れがあり、倒木の危険性など人身被害も懸念される。

国内では2012年に愛知県で被害が初めて確認された。兵庫県内では、2022年6月に明石市で確認されて以降、神戸、芦屋、西宮、三田で確認されており、昨年8月までに72匹を捕獲している。一度の飛翔距離は20―30㍍ほどで、車や鉄道に付いて、生息域を拡大させていると考えられている。

排出されたフラス

市は今年2月に防除マニュアルを作成。「まさにこれからが活動期。桜は市木でもあり、桜並木は丹波篠山の美しい町並みを想起させる大切な景観の一つ。学校や地域では記念樹になっていることも多い。市民の皆さんの多くの目で監視していけたら」と話している。

特定外来生物法により、飼育や生きたままの運搬などが禁止されている。成虫や幼虫を見つけた場合は、その場で踏みつぶすか、殺虫剤で駆除するよう求めている。

詳細は県ホームページ(「ひょうごの環境 クビアカツヤカミキリ」で検索)。

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